村上春樹さんという人は、テレビなんかには一切出ないのですが、語りやエッセイ集の類は、たくさん出ていて、安西水丸さんや和田誠さんがイラストを書いて、村上さんが文章を書くというコラボの形でのシリーズものがあります。
大橋歩さん(画)とのコラボが、「村上ラヂオ」シリーズです。村上ラヂオというタイトルの通り、洋楽を中心に流す日本のFMラジオを聴いているような感じの語り口調で、リスナーも作業をしながら聞き流せるくらいに文章がサラサラと流れていきます。
確か村上さんも、こんなことどこかで言っていました。「長編小説では、重たいことを書いているので、エッセイでは軽めで書いている」と。
エッセイ読んでも、この人やはりちょっと変わっているなーって思いますが、その絶妙な切り口が、なんだか読者の肩の力を抜いてくれるように思います。等身大で、ゆるーく語ってくださっています。
暑苦しくないんですよね。どちらかといえば、冷めているというか。世間が熱くなりそうなところは冷ややかにみていて、普通の人が気がつかないようなところで、ピンポイントでこだわる感じです。やはり変わっているんでしょうか。でも、そういうところ、いいと思います。 背負いこむことないと思うんですよね。
村上ラヂオ1の文庫は2001年発行、2は2011年、3は2012年発行です。1と3を比べると、1の方が若干尖った口調があるように思いました。「僕はこういうタイプの人間で〜」という春樹節です。
コアなファンの人は、昔と今ではどちらが好きなんでしょうか。歳を取ることはデメリットばかりじゃないって村上さんも言われています。私は、なぜかどんどん村上さんが熟成されてきているように感じて、以前より、今の方が好きですね。
村上ラヂオ2: おおきなかぶ、むずかしいアボカド (新潮文庫)
- 作者: 村上春樹,大橋歩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/11/28
- メディア: 文庫
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