Study: Problem of Space Junk and Climate Change / New York Times Intl. Weekly (June 20, 2021)

タイトルは、「宇宙ゴミの問題と気候変動」。

・過剰な二酸化炭素が大気圏の組成に干渉している。そこで起きている変化は地球低軌道をゴミ埋め立て地へと変え、現代の生活に不可欠なGPSや他のテクノロジーの機能へ影響を及ぼすことが懸念される。

・地上からおよそ80~600kmにある熱圏では、二酸化炭素の増加によりその密度が低下し、顕著に熱が奪われている。熱圏は分子への衝突により、宇宙ゴミを降下させる役割を担い、さらに下層の密度の高い大気の層(中間圏)でゴミが焼却される。

・現在、サイズが4インチ(約10cm)を超える2,500個の物体が、高度250マイル(400 km)以下の軌道を回っている。最悪のシナリオとしては、下層でのゴミ焼却が行われずに40年間軌道を回り続けるゴミが50倍に増殖し、最良のシナリオでもゴミが2倍に増えることが予測される。平均して10〜20倍の増加が想定される。

・しかし、宇宙ゴミに対する気候変動(二酸化炭素濃度上昇)が与える影響については、まだ政府レベルでは過小評価されている。

SpaceX(スペースX)は、地球低軌道(地表から600km以下)に展開するブロードバンドコンステレーションStarlinkスターリンク)」衛星を新たに打ち上げているが、今年4月には、米国連邦通信委員会は、スターリンクの約3,000の衛星の軌道の高度を下げる要求を承認した。これは、同軌道上の他の故障した人工衛星や破片(デブリ)が自然に一掃されるのにかかる時間(宇宙ゴミの寿命)を予測したシミュレーションの結果を根拠にしている。しかし、この解析には、二酸化炭素レベル増加による影響を考慮していないおそれがあるとの指摘もあり、Starlink衛生群の安全性への懸念が生じている。

宇宙ゴミの問題は、受動的な大気抗力の効果に頼るのではなく、衛星やデブリ(破片)を軌道から積極的に取り除くためにさらに多くのことを行う必要があると指摘する研究者がいる。

 

キーワード
・space debris 宇宙ゴミ
宇宙デブリ宇宙ゴミ、 宇宙破片、スペースデブリ
地球の衛星軌道の上を周回している、運用されていない人工物の総称。活動を終えて放棄された人工衛星、制御に失敗して運用不可能となったもの、それらが衝突して生じた破片などがある。

 

・satellite constellation 衛星コンステレーション
satelliteは、衛星、人工衛星。constellationは、星座、集合体。衛星コンステレーションとは、多数の人工衛星を協調して動作させる運用方式。人工衛星を互いに通信範囲が重ならないよう低軌道または中軌道に投入し、全地表面を網羅する。衛星電話やGPSなどで利用される。