Books:  小学館の図鑑 NEO〔新版〕宇宙

 

 

ニューヨークタイムズの科学・技術面に宇宙関係の記事は頻出です。時間のスケールで言えば、太陽系の惑星探査は日々進むものではないのですが、ここ30年でみると飛躍的に進んでいます。

当然ながら自分の幼い頃に読んだ宇宙の図鑑には紹介されていなかったことが掲載されたり、仮説が探査機により検証されたりしています。大人になって改めて面白いなと思うのが、宇宙関係の記事と昆虫関係の記事です。どちらの分野も未知なるものがまだまだあるようで、新発見が報告されると面白いです。その際に、背景知識が必要になります。本書は、子ども向けとは言え、内容はかなり本格的な図鑑で、自分のような基礎知識のない人間は、とても重宝します。
宇宙の惑星などは当然、すぐに手の届く環境ではありませんが、昆虫は一部はすぐ手に届く環境にいます。地球レベルで考えると、昆虫は人間と同じ生息圏内にいますし、間接的には人間活動が彼らの活動に影響を及ぼしています。地球上の既知の生物は175万種で、そのうち95万種が昆虫と言われます。しかし、ある論文の報告によれば、すべての昆虫種のうち40%が減少していて、今後数十年で絶滅する可能性があることが示されています。

図鑑には詳細に書かれていませんが、古代の占星術では、惑星や星座の配置から個人や家族、国の運勢を占いました。手が届かないからこそ、いろいろ想像するというのは人間の性なんでしょうか。「宇宙の成分に関しては、まだ知らないことが95%もある」と言われます。

各惑星の公転周期というのは、個人的には深読みしてしまいます。特に、月が約27日で、潮の満ち欠けや人体の生理現象ともリンクしています。そう考えると、もしかすれば、木星が約12年、土星が約30年というのも、人生で12年(24年、36年、48年、60年)、30年(60年、90年)というのは一区切りとされる時期ですので、何か関係があるのでしょうか。
一方で、身近な存在の昆虫でも、その学名に神話由来の種名がいくつかあります。古代エジプトでは、糞塊を転がして大きな球体を作るスカラベの習性を神秘的なものと考え、その球体を太陽に見立て、スカラベを太陽の運行を司る神である太陽神ケプリと同一視したようです。

大人の世界では、プレゼン能力であるとかコミュニケーション能力であるとか、とにかく対人関係に関するノウハウに注目が集まりがちですが、子どもが図鑑などを広げて、博物学的に知識を身につけたり、想像(妄想?)したりするのも、大切な能力ではないだろうかと思います。さらにいうなら、大人にとってもそのような時間は大切ではないでしょうか。

 

キーワード

各惑星の公転周期

水星:58.65日、金星:224.7日、地球:365.26日、月:27.3日、火星:686.98日、木星:11.86年、土星:29.46年、天王星:84年、海王星:165年、(冥王星:247.7年)

 

各惑星の名前の由来

 太陽(Sun)は、ギリシアの神様では、ヘリオスヘリオスは、太陽の神で、同じく太陽の神アポロンと同じ神ともされる。

水星(Mercury)は、ローマ神話の商業・旅人・芸術の守護神メルクリウスからきていて、ギリシャ神話では神々の使者である伝令の神・ヘルメスに相当する。

金星(Venus)は、美と愛の女神の名前で、ローマ神話ではウィーヌス、バビロニアではイシュタル、ギリシャ神話ではアフロディテに相当する。

 地球(Earth)は、ギリシャ神話やローマ神話をもとにしていません。最近、地球の自然環境全体をガイアとよぶことがある。

 月(Moon)は、ローマではルナ、ギリシャでは月の神アルテミスまたはセレネと呼ばれていた。月の神アルテミスは太陽神アポロンの双子の妹。一方、月の神セレネは、太陽の神ヘリオスの妹にあたる。

 火星(Mars)は、ギリシア神話では、ゼウス(木星)とヘラ(=ユーノー、ジュノー:第三番小惑星)の息子で、軍神アレス、ローマ神話マルスに由来する。マルスは、ギリシャ神話と関連づけられる前には農業の神だった。3月は英語でMarchですが、これはマルスからきている。また、さそり座のアンタレスは、火星の敵という意味のアンチ・アレスから来ている。。

 木星(Jupiter)は、ローマ神話の主神ユピテルに由来し、ギリシア神話の大神ゼウスに相当します。クロノス(土星)の息子。

 土星(Saturn)は、ローマ神話の時の神サトゥルヌスで、ギリシア神話では父ウラノスを抑えて天地の支配者の座についた巨神族クロノス。サターンは、英語のサタディ(土曜日)の元となった単語。

 天王星(Uranus)は、ギリシア神話の天空の神ウラノスの名前がそのまま付けられている。

 海王星(Neptune)は、ローマ神話での海の神の名前でネプチューンです。ギリシア神話では海神ポセイドンにあたる。

 冥王星Pluto)は、ギリシャ神話で冥界(死者の世界)の王プルート、ギリシャ神話のハーデスの別名・プルトンに由来する。太陽から非常に遠く,暗黒の世界であることからついたとされる。

大崎生涯学習センターより

 

神話由来の昆虫の学名

オオミズアオ(Actias artemis)種名にギリシア神話のアルテミスが使われている。
ヒメウラナミジャノメ(Ypthima argus)ギリシャ神話の神で、100の目を持つ巨人アルゴスに由来する。
ウスバアゲハ(ウスバシロチョウ)属[Parnassius]:ギリシャ神話の太陽神アポローンが住む山とされるパルナッソス山に由来し、パルナッソス山はニンフのクレオドラと人間の男クレオポムポウスの子パルナッソスに由来、又、パルナッソス山は酒神ディオニューソスも祭っている
クロヒカゲ[Lethe diana]ギリシア神話でのレーテーは、黄泉の国にいくつかある川の1つである。川の水を飲んだ者は、完璧な忘却を体験することになる。

Wikipediaなど