Music:  Virga II / Eluvium(2021)

 
 
 
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A post shared by Shuji Kuroda (@lalakoora)

ポストクラシカル、アンビエント界で高い評価を受け、日本でも厚い支持を集めるエルーヴィウム(Eluvium)が2021年発表したアルバムです。
本名マシュー・ロバート・クーパー(Matthew Robert Cooper)は、アメリカ・テネシー州生まれ、ケンタッキー州ルイビル育ち。数年前にオレゴン州ポートランドに移り住み、音楽活動をしています。
エレクトロニック、ミニマリズム、ドローンなど、さまざまなジャンルの実験音楽ブレンドされています。『Pianoworks』(2019)のように、ヒーリングミュージックのような心地よいピアノソロアルバムもあれば、「Virga I」(2020)のように実験的なアンビエントの作品もあります。
彼のアルバムには、Jeannie Paskeによるアートワークや写真が含まれていることが多いです。

『Virga I』というアンビエント作品が、世界中の音楽ファンの間で高い評価を受けており、『Virga II』は、その1年後に発表されたアルバムです。まず、レコード会社の『Virga I』の説明を付記しておきます。

Virga Iは、Eluviumの新しいアンビエント音楽の第一作目です。Eluviumの作曲家であるマシュー・クーパーは、次のように説明しています。「最近、僕は様々な形式の生成音楽(generative music)と長時間のループを演ってきた。音の体系や録音と向き合うことへの忍耐力を強化しながらね。二重奏的な演奏を抑え気味にし、物事をできるだけミニマル(最小最低限)に、一方で、できるだけを深みを持たせることに励んだよ。自分の利得のために実験的な創作活動をすることは、本当に楽しいことだった。時間が経つにつれ、作品がある程度まとまったので、自分で楽しむ程度の音源として色んな方法でミックスしていったんだけど、その時はそれほど作品の位置付けについては深くは考えていなかったんだ。ある晩のこと、僕は作品を聴いていたら、リラックスし、身体をよく伸ばし、深く呼吸し、とてもいい気分になってきたんだ。僕を夢中にさせるような特別な雰囲気を持っていることがわかってきたんだ。雪降る夜の帳に包まれたこの小さな部屋の中で柔らかなオレンジ色の輝きが音楽によって高めているように感じた。それと、自分の初期の作品何作かについても思い起こさせた。過去の作品のことを調査したり、検討したりして意識していたわけじゃないのに。感覚的なレベルでは頭の片隅にあったのかもしれないけど。そういうわけで、こういう音楽性の一連の作品群を発表していくことを決めたんだ。タイトルは、Virga(尾流雲)と名付けたんだけど、尾流雲というのは、雨が降った後、地平線に垂れ下がって地面に着く前に消えてしまう気象現象のことなんだ。」(Temporary Residence

 

そして、『Virga II』の説明文です。

Eluviumは、例年の如く始まり、異例の1年として終わった年である2020年はじめに、生成音楽と長いループ音楽を中心に構築された新しいアンビエントアルバムシリーズを発表しました。フルアルバムの間の埋める限定版ミニアルバムを意図してリリースされた『Virga I』は、圧倒的な不安と不確実性の1年において、予想以上に多くの人にとって癒しになりました。 1年後、Eluviumは『Virga II』をリリースしました。これは、感情の洪水を不安や不確実性以外のものとして昇華するのに役立つアルバムです。このアルバムは、「Hallucination I」とぴったりの名前が付けられた1曲目、幻想的な音のリピートを通してリスナーの潜在意識下でのメロディーの展開を促すように設計された、意図的な禁欲さがり、不流動的な曲ですが、この大海の暗闇のような曲から始まり、自らを再構築しながら我々の刻々と変化する時間と空間について回顧させるタイトル・トラックの「Virga II」、それはガス状の浮遊物のような曲でラストが締め括られます。雑音から至高の音まで、回顧と回復の不思議な旅のような一枚です。(Temporary Residence

 

 

 

キーワード
Generative Music ジェネレイティヴ・ミュージック(生成音楽)
リアルタイムに生成される音楽のことを指し、Brian Eno(ブライアンイーノ)が1975年に発表したDiscreet Musicというアルバムが原点になっている。リアルタイムに生成される音楽は、既存の確定した音楽を生演奏することとも異なり、その場その場で音楽が作られていく。当然意図的に記録しておかなければ再現性などはなく、ある規則に基づいて毎回どこか異なる音楽が生成される。

 

Minimalism ミニマリズム
ミニマリズム(英: Minimalism)は、完成度を追求するために、装飾的趣向を凝らすのではなく、むしろそれらを必要最小限まで省略する表現スタイル(様式)。ミニマリスムとも表記される。「最小限主義」とも。
「1950年代に彫刻や絵画の分野で芽を出していた」とも、「1960年代に音楽・美術の分野で生まれ、ファッションにも導入された」ともされる。なおその起源が、中国からもたらされ日本で独自に発展した、禅に見出すことができるという論者もいる。枯山水水墨画、茶室、盆栽などは、限られた空間や色彩の中に無限の世界を見出すミニマリズムである。しかし実際には、多くの国や地域の宗教が「質素」「清貧」を生活の理想としているため、あくまでも禅がその要素をいち早く芸術分野に取り入れ、明確に様式化させただけに留まる(しかしそれは非常に大きな功績であったことも事実である)。(Wikipedia

 

Brian Eno ブライアン・イーノ
ブライアン・イーノBrian Eno、本名:英語: Brian Peter George St. Jean le Baptiste de la Salle Eno[1]、1948年5月15日 - )は、イングランド出身の音楽家(イーノ本人は自らを「ノン・ミュージシャン」と呼んでいる)、音楽プロデューサー。
ロックバンド「ロキシー・ミュージック」の元メンバー。ソロ転向後は、アンビエント・ミュージック(環境音楽)を開拓した第一人者として知られている。実弟は、同分野で活動するロジャー・イーノ。

 

Loop ループ
ループ(loop)は、音楽用語としては、次のような意味を持つ。
(1)サンプラーなどで、持続音を得るための機能。
(2)指定された条件が満たされるまで意図的に繰り返し実行される場合以外で、誤った命令によって同じ所から無限に実行される場合。
(3)プログラムの中で、輪の様になっている流れの部分。 

 

Drone ドローン
音楽におけるドローン(英: drone)とは、楽曲の中で音高の変化無しに長く持続される音である。完全五度などの複音の場合もある。
類似するものに持続低音(オルゲルプンクト)があるが、これは機能和声や対位法のカデンツ操作の中に組み込まれており、長さもそれほど長くはない。
ドローンは民族音楽でよく使われ、バグパイプの低音などがその典型的な例である。現代音楽にもこれからヒントを得てよく使われ、ラ・モンテ・ヤングの音楽はドローンそのものであり、それだけで数時間かかるものもある。
インドの伝統音楽においては、完全五度のドローンは欠かせないものとなっている。タンプーラ(英語版)(タンブーラ)はそのための専用の楽器である。