Musc: LOOSE / B'z (1995)

 
 
 
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全作詞: 稲葉浩志(#14を除く)、全作曲: 松本孝弘
# タイトル 時間
1. 「spirit loose」  1:04
2. 「ザ・ルーズ」  3:30
3. 「ねがい ("BUZZ!!" STYLE)」  4:59
4. 「夢見が丘」  4:38
5. 「BAD COMMUNICATION (000-18)」  4:54
6. 「消えない虹」 3:35
7. 「love me, I love you (with G Bass)」  3:17
8. 「LOVE PHANTOM」  4:37
9. 「敵がいなけりゃ」  3:12
10. 「砂の花びら」 3:38
11. 「キレイな愛じゃなくても」  4:02
12. 「BIG」  2:50
13. 「drive to MY WORLD」  4:05
14. 「spirit loose II」(Secret Track)  0:59
合計時間:49:20

 

 

 

 

『LOOSE』は、1995年11月22日に発売された8枚目のフルレングス・アルバム。当時の私の素直な感想は、「僕の好きなB'zじゃなくなった」「悔しいけど、明るすぎる」「置いてきぼりをくらった。Don't Leave Me!」でした。

前作までの長髪で口元にはちょび髭を蓄えた稲葉さんが、これぞRockerというスタイルだったので、どうしてもあのままの姿でいてほしかったのです。しかし、このアルバムでは、髪を切った爽やかな好青年に戻ってしまいました。収録曲も、明るくポップで、リズムカルなものが目立ちます。弾き語りの曲もあったり、なにより歌詞がとても日常的なものになりました。前作までの異国のどこかに隠れ住んでいるような雰囲気はなくなりました。そのため、新たなB'zファンも増えていました。新しいチャプターが始まっていたのです。

その一方で、B'zのライブ初体験はこのアルバムでもあります。リアルなB'z体験をした時期でもありました。今思えば、とても貴重な体験をしていたことがわかりました。初めて行ったB’zのライヴは、震災から1年2ヶ月後の神戸公演でした。

1996年3月29日 神戸ワールド記念ホール
1996年3月30日 神戸ワールド記念ホール

どちらかのライヴに行きました(記憶が定かでありません)。ロック系のライブは初体験だったので、大音量に圧倒されたことは覚えています。そしてなにより、稲葉さんがMCで言葉を詰まらせていたことが、一番心に残っています。

後から調べると、いつもは「あと何回コイツを叫び続けたら俺は幸せになれるんだろう…B'zのLIVE-GYMにようこそ!」って言う所を、神戸公演のときだけ「この街で、またこの言葉を叫ぶのをずっと楽しみにしてました。B'zのLIVE-GYMにようこそ!」って挨拶したことを覚えているファンがいました。

5 ERAS 8820 Day2』の記事でも書きましたが、B’zのメディア露出が極端に少なかった1994年(いわゆる暗黒時代)が明けて、ポップでキャッチーなアルバム「ザ・ルース」を提げてのツアーでした。1995年およびその前後は、世の中が不穏な時期でもありました。1995年1月の阪神淡路大震災の後、3月には地下鉄サリン事件もありました。2年前の1994年といえば、カート・コバーンが亡くなったというロック史上でも最も衝撃的な出来事のひとつがありました。

アルバム「ザ・ルース」の収録曲「夢見が丘」は小豆島を舞台にした小説「二十四の瞳」からインスピレーションを得たと言われます。しかし個人的には、神戸の震災のことも歌っているように思えてなりません。北野異人館通り、布引ハーブ園、六甲台、須磨離宮、塩屋のどこかの高台から瀬戸内海を見下ろしているB’zの二人を思い浮かべてしまいます。

そういえば、「LOVE PHANTOM」のPVも、ギリシアかどこかの岸壁からエーゲ海を眺める姿がありました。この曲はコッポラ監督の「ドラキュラ」や「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」にインスパイアされたそうです。とても人気のある曲です。個人的には、その歌詞の内容からカルトチックな危なさも読み取ったりしてしまいます。

この頃から、私の音楽探求は、徐々に洋楽へと進んでいったように思います。B'zが影響受けたとされる有名なバンドを掘り下げ始めました。以降、彼らの新しいアルバムが出ても真剣に聴くことはありませんでした。

いままでは、ニューヨーク、ロス、ロンドン・カムデンと、異国を思いを馳せながら聴いていたのに、急に「家庭教師」、「セブンイレブン」と歌詞に入ってきて、もしかして近所に住んでいるの?って夢が覚めた感じです。近寄り難かった彼らが実は日本で普通に生活する人たちだということを受け入れるのには時間がかかりました。あくまで特別であってほしかったんですね。

しかし、最近になって、中学時代の友人と再会し、かつて一緒に音楽を一緒に聴いていたことを思い出しました。当時好きだった音楽を通じて、あの時はしっかりと向き合えなかった自分と今は少しでも向き合えるような気がしました。その手がかりを探して、B'zの全曲を聴き直しています。今は真剣に。あの当時も真剣だったんだけれども。