Music: B'z Showcase 2020 - 5 Eras 8820 - Day 1 (2021)

 

<収録内容>

01. だからその手を離して
02. BLOWIN'
03. 星降る夜に騒ごう
04. BE THERE
05. 太陽のKomachi Angel
06. Easy Come, Easy Go!
07. GIMME YOUR LOVE -不屈のLOVE DRIVER-
08. ALONE
09. あいかわらずなボクら
10. Baby, you’re my home
11. TONIGHT (Is The Night)
12. どうしても君を失いたくない
13. 恋心 (KOI-GOKORO)
14. 『快楽の部屋』
15. ZERO
16. RUN
17. 裸足の女神

Day 1を購入しました。好きな時期(Era)で、年齢がバレそうな気がします。4枚目のアルバムからB'zはほぼリアルタイムで聴いていたので、特に、4th「RISKY」、5th「IN THE LIFE」、6th「RUN」の収録曲については青春(思春期、中二病)真っ只中だったのもあり、曲を聴くだけで泣きそうになります。

こうやってライブで改めて聴くと、06. Easy Come, Easy Go!、07. GIMME YOUR LOVE -不屈のLOVE DRIVER-あたりのバンドの一体感からもやはり4th「RISKY」あたりからバンドとしてのノリであったり、自由度が爆発的に増したのがわかります。もちろんライヴで何度も演奏されてきたのもあるでしょうが、松本さんのギターと稲葉さんのボーカルの化学反応が激しいです。バンドとしては、ミニアルバムの「Bad Communication」の大ヒットで時代の先端に躍り出て、その4ヶ月後に発売された3rd「Break Through」ではギターの主張は強くなっていますが、ボーカルのスタイルは、1stと2ndの路線のキレイ目の歌い方でした。次のアルバム、4th「RISKY」で稲葉さんが自らの殻を打ち破った気がします。07. GIMME YOUR LOVE -不屈のLOVE DRIVER-の一部、アメリカのメタルバンドMotley Crueの「Live Wire」と一部似ているところもありますが、とにかくかっこいいのです。Motley Crueは、歌詞はザ・ロックという感じの内容ですが、ファッションが中性的ないしフェミニンなんです。男の代名詞(マスキュリン)のようなところから発生したロックですが、ミュージシャンやアーティストが秘める女性性については、熟考の価値がありそうです。社会的・文化的な性別(ジェンダー)としてロック音楽はしばしば社会に大きな影響を与えてきました。いわばペルソナの側面です。その一方で、アニマ・アニムスの観点からみたロック音楽も、なかなか面白そうです。

4th「RISKY」の前兆として、その5ヶ月ほど前に発売されたミニアルバム「Wicked Beat」という全詞英語のミニアルバムがあります。このあたりで、もう羽目を外して、膿を出すかのようにボーカルが突っ走ったのが功を奏したのかもしれません。それにしても、全詞英語なんてとんでもない能力を秘めた方です。

5th「In The Life」収録の11. TONIGHT (Is The Night)は、鈴木雅之が歌っても不自然じゃないアダルトロック風の曲ですが、稲葉さんによると「この歌を歌ってる時、山下達郎さんになりたいなと思ってました」ということで、「クリスマスをイメージして作詞した」らしく、クリスマスへの憧れを託したとのことです。09. あいかわらずなボクらは、Beginが歌っても良さそうとずっと思っていました。アットホームな雰囲気は、人気曲「Home」という名曲に引き継がれたように思います。『快楽の部屋』は、これぞロックという曲で、X Japan「紅」を演奏する際の曲紹介のときに、「くれないだー!」と叫ぶところを、B'zの場合は、松本さんのエレキが、ギャンギャンとイントロから叫びまくる曲です。

ミニアルバム「Friends」収録の12. どうしても君を失いたくないは、インストとしてムージックステーションのエンディングで流れていましたが、今回このライブで聴けてよかったです。といいますか、これが目当てでした。

どうか強く手をとりあおう つらい時は泣けばいい

いつか一緒に海に行こう 波の音を聞きたい

の歌詞のところ、いつもうるっときます。「Friends」というアルバムはコンセプトアルバムで、冬、過去、恋愛、失恋、喪失、未練、友情、未来といったキーワードを想起させ、人間同士の繊細な心模様を描いたものです。言葉にならない心の奥底を描くかのように、海辺の砂浜風景が微細なタッチで描かれます。

6th「Run」収録の15. ZERO、16. RUNは、ライブでも定番曲で、間違いなく盛り上がります。この2曲は双子のような曲で、「原点に還ろう」「一度気持ちをリセットして再スタートしよう」と自分に言い聞かせているように聞こえます。ときには振り返りも大切です。

ネガティブな感情を男臭いロックに乗せて歌うところB'zの最大の魅力です。ナヨナヨ、グジグジ、シクシクといった頼りない歌詞ですが、恥ずかしげもなく披露してくれます。弱さを惜しげもなく表現するのが、本当の強さかもしれません。内面に秘める男性性のイメージかもしれません。

一方で、歌詞から描かれているのが男か女かと性別を特定するのは難しいですが、女性目線だなと思う曲、あるいは男から見た女性を描いた歌詞は、力強いです。例えば、「ALONE」、「太陽のKomachi Angel」、「LADY NAVIGATION」、「GIMME YOUR LOVE」、「裸足の女神」あたりは、芯の強い女性が歌われているように思います。男性が内面に秘める女性性が強いのかもしれません。

参考:音源発売時期

アルバム
1st    1988年9月21日    B'z    
2nd    1989年5月21日    OFF THE LOCK    
3rd    1990年2月21日    BREAK THROUGH    
4th    1990年11月7日    RISKY     
5th    1991年11月27日    IN THE LIFE    
6th    1992年10月28日    RUN    

 

ミニアルバム
1st    1989年10月21日    BAD COMMUNICATION    
2nd    1990年6月21日    WICKED BEAT   
3rd    1991年5月29日    MARS    
4th    1992年12月9日    FRIENDS    

シングル
1st    1988年9月21日    だからその手を離して   
2nd    1989年5月21日    君の中で踊りたい    
3rd    1990年2月21日    LADY-GO-ROUND    
4th    1990年5月25日    BE THERE    
5th    1990年6月13日    太陽のKomachi Angel    
6th    1990年10月3日    Easy Come, Easy Go!    
7th    1990年10月24日    愛しい人よGood Night...    
8th    1991年3月27日    LADY NAVIGATION    
9th    1991年10月30日    ALONE    
10th    1992年5月27日    BLOWIN'    
11th    1992年10月7日    ZERO    
12th    1993年3月17日    愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない    
13th    1993年6月2日    裸足の女神