Books: 音楽と人 2022年1月号

 

B'zのFriends IIIを中心としたインタビューです。B'zにとって、フルレングス・アルバムに対してミニアルバムは、やりたいことをやってみる実験場のような位置付けです。ハードロック主体のB'zにとってミニアルバム「Friends」シリーズは、クラシックやAORの色合いを出したコンセプトアルバムです。

AORとは、和製英語(あまり欧米では流通していない日本独自の業界用語という意味)で、Adult Oriented Rockで、要するに「大人のロック」です。ロック・ポップを下地にしながらも、クラシック音楽やゴスペルのコーラスやハーモニーを取り入れたり、ジャズ・フュージョンの複雑なコードを使ったりと、ライブで盛り上がるようなハードなロックに対して、家でもゆったりと落ち着けるソフトなロックです。松本氏は、TOTOやシカゴ、エアプレイあたりのイメージをお持ちのようです。11/17に東京ガーデン・シアターで行われたライヴでは、開演前のBGMとして、ジノ・ヴァネリアース・ウィンド・アンド・ファイアーマイケル・フランクスが流れていたようです。

ちなみに、Album Oriented RockもAORと略されることもありますが、こちらはコンセプトのあるアルバムのことで、売れ線狙いのヒット曲を出すのではなく、アルバム全体の質を高めた作品です。要するに、玄人好みです。B'zのFriendsシリーズもコンセプトアルバムであり、ヒット曲は収録されていますが、いずれのAORにも当てはまると思います。

Friends Iでは、クラシックテイストが、Friends IIでは、AORテイストが強くなっています。インタビューを読む感じでは、12月8日に発売のFriends IIIは、AORテイストがより強まりそうな語り口調です。

稲葉氏は、Friendsシリーズを「自分の中の贖罪と後悔、そして、ちょっとの希望の歴史です」と振り返ります。12/8のFriends Liveでは、Live-Gymとは違った重みがあったと感じたそうです。インタビューでも言及されているように、冬に出すアルバムは、春や夏、あるいは海外などで制作を開始することもあり、季節感を合わせていくのも重要なようです。今回のアルバムは、ロスで制作していたため、オケだけ聴くと、あちらのカラッとした雰囲気になったようですが、歌詞に冬の季語が入っているので、OKになったようです。その意味からも、Friends IIよりもAORぽさが増しそうです。

そもそもは、松本氏が、映画『フレンズ〜ポールとミシェル』(1971年)を観たのがきかっけではじまったそうです。エルトン・ジョンが映画用のサントラとしては初めて手がけた作品です。

音楽と人という雑誌はたまに読むのですが、カタカナや英語が多い音楽業界にあって、文字が縦書きであるのが、なかなか読みにくいのも感じました。

Friends IIIの収録曲

01. harunohi
02. シーズンエンド
03. ミダレチル
04. Friends Ⅲ
05. Butterfly
06. こんな時だけあなたが恋しい
07. GROW&GLOW

 

 
 
 
 
 
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