Music: Distant Satellites / Anathema (2014)

 

 

アナセマ(Anathema)というイギリス出身のバンドがあります。元々は、ゴシック・メタルの代表格としてシーンを盛り上げた実力派集団です。5枚目のアルバム以降は、方向性を転換し、かつての音楽性とは真逆のスタイルになりました。イギリス→アメリカ、夜→昼、冬→夏、メタル→ポストロック、ハード→ソフトといった具合の対照的な大きな変化です。おすすめのアルバムは、『ジ・オプティミスト』(2017)、『ディスタント・サテライツ』(2014)です。基本的に、5th『ジャッジメント』移行は、どのアルバムも質が高いので安心して聴けます。ただ、誤解がないように補足すると、4thまでがおすすめではないという意味ではなく、センスのよさは1stから一貫して存在しています。

本作は、ノルウェイの首都オスロにあるCederberg Studiosで録音されました。プロデューサーに、ノルウェイ人のChrister-André Cederbergを迎え、ミックスはイギリス人のSteven Wilsonが担当しています。Christer-André Cederbergは、Weather Systems (2012)、Universal (2013)でもプロデュースを担当しており、Steven Wilsonは、We're Here Because We're Here(2010)でミックスを担当しています。

本作は全体を通して、透明感に満ち、浮遊感と解放感のある仕上がりです。1曲目の「The Lost Song Pt. 1」の冒頭の歌詞では、

Tonight
I'm free
So free
For the first time
I've seen
New life
New life

今夜
僕は自由なんだ
とても自由なんだ
初めて観たんだ
新しい人生を
新しい人生をね

と描かれており、ある人物が何かから解き放たれたようにも解釈できます。ノルウェイという北欧の雰囲気がそうさせたのか、Anathemaの秘めていたものが、何かをきっかけに解放されたのか。抽象的な歌詞なので、いろいろ解釈はできそうです。いずれにせよ、このアルバムを聴くと、気持ちが安らぐのがわかります。

 

 

 

 
 
 
 
 
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