Study:  Japanese Cinema, A Global Success. New York Times Intl. Weekly. April 10, 2022

タイトルは、「日本の映画 国際舞台で快挙」。

・日本の映画「ドライブ・マイ・カー(Drive My Car)」が、アカデミー賞長編映画賞を受賞した。滝田洋二郎監督の、偶然に葬儀屋に就職した主人公を描いた映画「おくりびと」以来13年ぶりである。

・20世紀半ばの黒澤明溝口健二小津安二郎のような国際的に有名な監督がいた時代以降、日本の映画界は不振が続いていた。

濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」は、悲哀、芸術、人間関係に対する監督の熟考が、国際部門で圧倒的な支持を集めた。脚色賞、監督賞、作品賞にもノミネートされた。

・本作は、村上春樹の短編小説「ドライブ・マイ・カー」を元にしている。「外国人を容易に容認し、理解する日本を表現している」とTVプロデューサーの津田環はコメントしている。

・映画は、国際感覚溢れる日本を提示しながらも、その一方で、内容は社会的に孤立する登場人物が表現される。これは、欧米における日本に対する心象を反映しているようにも思える。

・イギリスの日本研究の大学講師であるジェニファー・コーツ氏は、「私たちは、今、日本人がどのようなビジョンを持っているかを見ています」と語る。映画では「Hikikomori」として知られる極端に社会から距離のある人々が描かれているが、海外の批評家や観客の心をつかんだのは、静かなトラウマを描いた映画における「離れ業」だと、コーツ氏は指摘する。

・「ドライヴ・マイ・カー」は日本国内の問題に正面から向かい合っているわけではなく、その社会的メッセージは穏やかである。しかし、外国人観光客や難民の入国制限といった扱いの難しい国際問題から目を背け、内向き志向になる日本を、そっと外の国際社会へと視線を向けるように促す。