Study: ヴィシュヌ神話に関する個人的覚書

蓮の花を鑑賞しました。それで、インド神話のことを少し思い出したので、簡単にまとめておきます。

「シュリマド・バーガヴァタム(バーガヴァタ・プラーナ)」に含まれるヴィシュヌ神話では、有名な2つの神話があります。

1. ブラフマーがヴィシュヌの臍(へそ)から生じた
ヴィシュヌは瞑想の至福にひたって、大蛇(シェーシャ、アナンタ)を寝台として眠っていた。彼は4千ユガの間、水上で眠り続けた。彼の内部にある微細な原理が激質(ラジャス)の影響を受けて、再び創造を開始しようと欲し、彼の臍から出た。それは蓮となり、そしてその世界蓮の中に、ヴィシュヌ自身も入り込んだ。その蓮から、ヴェーダよりなる、創造神ブラフマーが自力で生まれた。自力で(スヴァヤン)生じた(ブー)から、彼をスヴァヤンブと呼ぶ。ブラフマーは生まれるとすぐに四方を見渡したので、4つの顔を得た。彼は周囲の水波を見てもわけがわからず、こう考えた。蓮の茎の管を通って水中に入り込んだが、どうしてもその窮地を見出すことができなかった。そこでブラフマーは瞑想して蓮の花の上に坐し、ついに明知に達して、自己内部に、プルシャ(ヴィシュヌ)が大蛇の上に横たわっているのを見た。

ブラフマーブラフマンヴェーダ聖典)を神格化した者であり、次第に人格的な造物主と認められるようになった。ブラフマーは最高原理として黄金の卵(宇宙卵)の中で眠っていたが、その卵を割って天・空・地を作った。

ブラフマーがヴィシュヌの臍から生まれたとするこの神話は、ヴィシュヌがブラフマーよりもはるかに優れた神であることを示す目的で作られたものとされる。「シュリマド・バーガヴァタム(バーガヴァタ・プラーナ)」は、ヴィシュヌ教徒は、最高原理(ブラフマン、プルシャ)をヴィシュヌの本質とみなし、ヴィシュヌ優位の描かれ方がされている。

 

2. 北極星となったドゥルヴァ
ブラフマーの息子マヌには、プリヤヴラタとウッターナパーダという二人の息子がいて、二人とも世界を守護する王となった。ウッターナパーダ王には、スニーティとスルチという二人の妻がいたが、彼はスルチの方を愛していた。スニーティはドゥルヴァという息子を、スルチはウッタマという息子を生んだ。ウッターナパーダ王が、膝の上でウッタマを可愛がっている時、ドゥルヴァも膝の上に乗ろうとした。ところが、スルチが、ドゥルヴァに対して、「あなたは私の腹から生まれた子ではないので、王の膝には乗ってはいけません」と意地悪なことを言い放った。傷ついたドゥルヴァは、泣きながら自分の母のところに戻った。母スニーティは悲しんだが、気を取り直してこう言った。「ヴィシュヌ神の蓮花のような御足を拝みなさい」母の忠告を聞いたドゥルヴァは、父の都から出て行った。ナーラダ仙の導きにより、マドゥナの森で、激しい修行をしながらヴィシュヌについて瞑想(熟考)した。5ヶ月立つと、ドゥルヴァは一本足で棒のように不動に立ち、最高者について精神を集中した。彼の苦行の発するエネルギーにより三界は振動した。マドゥヴァナの森にガルダ鳥に乗って姿を現したヴィシュヌは、ドゥルヴァの頬にほら貝で触れると、ドゥルヴァはヴィシュヌの讃歌を滔々と唱えた。満足したヴィシュヌは、ドゥルヴァに至高の場所、他の星々がそれを中心として回る位置を授けてやった。こうしてドゥルヴァは北極星となったのである。

2つ目の話は、宮沢賢治の「よだかの星」を少し思い出す。自らの「存在」への罪悪感から体を燃やして星へと転生するよだかの姿と重なる。

 

参考

スワミジの「シュリマド・バーガヴァタム」

 

 

 

 

 

 
 
 
 
 
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