ビル・エヴァンス

ビル・エヴァンスの風貌をぱっと見た感じでは,生真面目そうなサラリーマンだけど,音楽を聴くとまったく印象は変わってしまう.もともとラヴェルのような物静かな音楽が好きだった僕にとっては,ビル・エヴァンスを知った時点で,誰か他のジャズ・ミュージシャンを好きになることはあるのだろうかとさえ思った.
ビル・エヴァンスの仕事の中では,特に若くて才能のあるラファロとエヴァンスのコラボレーションはレベルの高さが評価されている.このトリオで,「ポートレイト・イン・ジャズ」「エクスプロレイションズ」「ワルツ・フォー・デビー」「サンディ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード」の4枚を録音しているが,これらはリバーサイド四部作としてファンの間では特別なアルバムとされている.しかし,「ワルツ・フォー・デビー」録音からわずか11日後,1961年7月6日に25歳の若さでラファロが交通事故死し,しばらく活動を停止する.
ただ,名作4枚を聴いてビル・エヴァンスを知ったと思うのは早計かも知れない.麻薬常習であったエヴァンスの音楽が,次第にその破壊的内面を見せるようになった言われる「ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング」(You Must Believe in Spring)も聴いておく必要があるかも知れない.

Sunday at the Village Vanguard

Sunday at the Village Vanguard