無常という事 / 小林秀雄

lalakoora2006-05-06

モオツァルト・無常という事 (新潮文庫)
茂木さんの講演を聴いて,小林秀雄という文芸評論家が気になりました.池田晶子さんが小林秀雄の「考えるヒント」に準えた「新・考えるヒント」というエッセイは読んだことはあります.小林秀雄自身の作品を読んでみようと思ったのは,やはり茂木さんの熱弁のせいだと思います.
早速,文庫で出ている作品を読んでみました.「無常という事」です.冒頭に,一言芳談抄からの引用があります.著者が比叡山へ行ったときにふと思い出されたと述べています.そして,最後の方の下りが印象的でした.ベルクソンの純粋記憶や純粋知覚について読んだ後のせいか,意味が深いなぁと感じました.

思い出が,僕らを一種の動物であることから救うのだ.記憶するだけではいけないだろう.思い出さなくてはいけないだろう.