感想 / 小林秀雄

小林秀雄全集〈別巻1〉感想
茂木健一郎さんの講義でも頻繁に登場する小林秀雄という人.茂木著の小林秀雄賞受賞作の「脳と仮想」の冒頭では,

私にとって大切な問題に,小林もまたのめり込んでいた.小林が,それほどまでにとらわれていた問題とは,物質である脳に,いかにして様々な主観的体験に満ちた私たちの心が宿るのかという,いわゆる「心脳問題」だったのである.

と語られています.
小林秀雄ベルクソンを論じたのが「感想」です.昭和33年,56歳の春から雑誌連載5年,昭和38年夏に中断し,晩年には出版も禁じられていたそうですが,昨年出版されました.
茂木著の「生きて死ぬ私」には,

人は,誰でも幸福になりたいと言う.だが,人の心に去来する様々な陰,ひだを見る時,人生が,幸福の条件を客観的,合理的に整備していくというのでは割り切れない側面を持っていることは確かだ.[・・・]いくら科学技術や経済水準を向上させ,最大多数の最大幸福を追求しても,人間の心には,必ず割り切れないところが残るのだ.

とあります.