★日本ラカン派の第一人者による解説書.
「ゆうべの夢の中で,マグロのお寿司をおなか一杯,食べました」
彼女の報告を聞いて,私は複雑な気持ちがした.それは不思議なことであるはずであった.しかし一方で私は,それが当たり前のことであるかのような感じを持っている自分に気づいていた.前夜の私の満たされなかった食欲は,彼女の夢の中で,彼女によって満たされていた.
(新宮一成著「ラカンの精神分析」講談社現代新書p12)
著者は,このエピソードはラカンの重要概念である「他者の欲望」を,無意識において担うという役割を与えられていたと解釈しています.ラカンの「鏡像段階論」というものをもっと知りたいです.