ジャコメッティ展〜兵庫県立美術館

lalakoora2006-09-16


あの細長い影のような彫刻に特異な思想を感じたので観にいってきました.そして初兵庫県立美術館です.典型的な安藤建築でした.そして,特別展示場への入り口がわかりにくくて間違いました.
ジャコメッティのあの肉付けも凹凸もなく,「彫刻」としての限界と思えるほどに細長い人物像は,大戦後の1950年頃から作られはじめたそうです.哲学者サルトルは,ジャコメッティの人物像を,現代における人間の実存を表現したものとして高く評価したといわれます.
今回の展示会は,ジャコメッティの創作活動に大きな影響を与えた矢内原伊作という日本の哲学者との交友に焦点を当てて作品が展示されていました.矢内原伊作という人は,モデルとして,妻のアネットよりも弟のディエゴよりもずっと忍耐強かったそうです.時には一日10時間も仕事をしたとか.
ジャコメッティの妻は実は矢内原に心を寄せていたというエピソードも出てきたり,ジャコメッティは自分の妻と娼婦をバーのテーブルに並ばせたりといった慣習に反した内縁関係を垣間見て,ジャコメッティの思想の複雑さを感じました.
松岡正剛さんによるジャコメッティ著『エクリ』の書評