ブルーズマン

King of Delta Blues
トニ・モリスンの「ジャズ」を読むと20世紀初頭のニューオーリンズ・ジャズや1930年代のスウィング・ジャズの音が想起されます.一方で,ブルーズの音も聴こえてきます.ブルーズはブルーズでジャズと同じかそれ以上に多様で,地域・時代によってノリが異なっています.
トニ・モリスンの「ジャズ」は1926年とそれ以前の話です.1920〜30年代というと,もちろんデルタ・ブルーズですね.ミシシッピー州のデルタ地帯クラークスデイル,グリーンヴィルで生まれました.ブルーズ発祥の地です.ちなみに同州のニューオーリンズはジャズ発祥の地と言われています.本来のブルーズのスタイルであるフォーク・ギター1本での弾き語りです.ロバート・ジョンソンサン・ハウスに代表されます.戦前のフォークギター1本で弾き語られるブルーズはカントリー・ブルーズとも言われます.
1930年代から1950年の間にもアメリカ南部の綿花栽培地帯の各都市部中心にブルーズは発展していきます.そして,1950年代には,黒人が北部の白人の都会へ移動・定着し,その中でブルーズにもエレキ・ギターが導入されたりして,ソフィストケイトされたモダンなブルーズ,シカゴ・ブルーズと呼ばれるスタイルが台頭します.マディー・ウォーターズハウリン・ウルフ,リトル・ウォルター,オーティス・ラッシュあたりです.商業化によって多くの人の耳に入るようになり,ブルーズと言えば,このエレキで弾くシカゴ・ブルーズを思い浮かべる人も多いかもしれません.
アルバート・キングB.B.キングは活動期間が長く色んなスタイルを踏襲してきているので一概に何系とは言えませんが,ミシシッピ州のメンフィス系のR&B色の濃いスタイルと言われています.
テキサス州では,Tボーン・ウォーカーアルバート・コリンズフレディー・キングライトニン・ホプキンズといったワイルドでエレキギターのテクニックも優れたミュージシャンが目立ちます.テキサスのこういった音楽的土壌から後にスティーヴィ・レイ・ヴォーンパンテラダイムバック・ダレルのようなギタリストが生まれるのも不思議ではありません.