瀬戸内寂聴の源氏物語

瀬戸内寂聴の源氏物語 (講談社文庫)


★「若菜」は、源氏物語の中で最も読み応えのある帖だと言われています。光源氏が、かつての(父)桐壺帝に、柏木は、かつての光源氏へと、立場が一気にシフトするところが読みどころのように思えます。柏木と女三の宮の不義が発覚した時の光源氏の心中はどんなものだったのでしょうか。その瞬間にきっと父・桐壺帝の苦悩が脳裏を駆け巡ったと思います。源氏物語は、運命的に一人の人間が盛も衰も味わわざるを得ない、因果応報とも言えるようなものが根底にあるところが魅力に思えます。