エニグマ

3,4年前クラブでトランスという音楽が流行った頃,僕はクラブにはほとんど行かなかったけど,それでもそのトランスという音楽がどんなものなのかは気になった.トランスとは,一種の恍惚状態のことで,心身ともにエクスタシーに達している状態のことらしい.クラブでも音楽にあわせて狂喜乱舞しているうちに,一種の恍惚状態に達する人もいると聞いたことがある.エネルギーが有り余っている若者が好みそうなことではある.クラブでかかるトランスミュージックは,踊るために作ってあるので,テンポも速く,派手だ.僕は,逆にテンポの遅い,静かなトランスってないのかなと探してみた.そこで見つけたのがENIGMAだった.エニグマの音楽は,マイケル・クレトゥというミュージシャンのコンピューターの打ち込みによって成り立っている.しかもこのエニグマの1stアルバム(1996年発表)は,クラブ・ミュージックにグレゴリオ聖歌をミックスさせていたので,かなり社会に衝撃を与えたらしい.クラブ・ミュージックと言えば,俗世間の音楽である.一方で,グレゴリオ聖歌といえば,神秘的な高貴な音楽である.その両極端を混ぜ合わせたことが,特にヨーロッパの人たちには画期的に感じられたらしい.

サッドネス(永遠の謎)

サッドネス(永遠の謎)