ファーブル昆虫記

岩波文庫からファーブル昆虫記が出ているのだが,全10巻となかなか圧巻だ.しかし,ハチのことを知りたければ,1巻から3巻あたりに集中して書かれているので,まずはその辺りを読めばいいのかも知れない.
それとは別にファーブル昆虫記を読んでいて,いつも出てくるのが,ダーウィンの名前だ.ファーブル自身が先人に対してライバル意識を持っていたのかもしれないが,事細かに,進化論には賛成できないだとか,観察が甘いだとかといった批判を加えているのが面白い.
ファーブル(1923-1915)はかなり苦労人らしく,父の転職に従って南仏の各地を転々としながら,少ない機会を生かして一生懸命勉強して教員の資格をとり,生計を立てながら昆虫の研究を続けたと言われている.一方で,ダーウィン(1809-1882)はいわゆるイギリスの貴族階級のお金持ちの家に生まれた人である.環境は違っていたが,どちらの人もかなり鋭い観察力を持っていることは,確かであろう.