免疫の研究で有名な多田富雄さんの問題意識は,”「自己」とは何か”であることは,どの著作を読んでも一貫して感じとることができるだろう.例えば,「免疫の意味論」においても最後の方の章で,「自己」の定義について言及されている.僕も「寄生者」を研究している以上,「自己」と「非自己」の問題には非常に興味がある.
遺伝子だけでは「自己」を規定できない.免疫学的「自己」というものが存在しているわけではない.反応する「自己」,認識する「自己」,認識される「自己」,寛容になった「自己」・・・というように,「自己」は免疫系の行動様式によって規定される.そうすると,「自己」というのは,「自己」の行為そのものであって,「自己」という”固定”されたものではないことになる.
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