ベルクソンの哲学には「死」がない

これはよく言われることだが,ベルクソンの哲学には「死」がない.なぜ死がないかと言えば,死とは空間化されたものであるからだ.死について考えるのは,人間独自のもので,他の動物は概念的に死に対して不安を感じることはないと考えられている.しかし,人間には,他の動物のような生き方ができないというわけではない.「ありのままに生きれば(純粋持続)」,将来来るであろう死に不安を覚えることもないと解釈できる.
しかし,「ありのままに生きる」とは,あるいは「空間化を伴わない生き方」とは,どのようなことだろうか.
ただ,「白紙にかえって,総体的に再建することだ」とは思わないし,それはナンセンスな解釈だとは思う.