倫理とは何か

僕にも「正しい」と思うことや,「善い」と思うことはあり,逆に「間違っている」や「悪い」といった規範がある.では,なぜ自分はそのように善悪,正誤といった判断を下しているのか.具体的には,昨日の日記でも「節約することは善い」と考え,それを「環境にやさしい」とまで述べている.それはなぜか.なぜ僕はそう考えるのか.あるいは善いと思ったことを他者に対して表現するのか.
永井均さんの「倫理とは何か」を読めば,そのような疑問に対する答えが見つかるだろうか.
この本が対象としている読者は,「いかに生きるべきか」という問いを考えているが,それを道徳的な問いに解消したくないと思っている人である.道徳的な意味で善く生きることは,自分がよく,楽しく,充実して生きるために考慮すべき観点の一つにすぎない.
問われるべき最も根本的な問いは,そもそも「いけない」とはどういうことか,とか,なぜ,およそ「いけない」ことなどが存在しうるのか,とか,そういう問題だと思う.逆に言いかえれば,一般的に「他人にとって悪い」という意味で「してはいけない」とされることを,人は「してもいい」のではないか,といった問題だ.

倫理とは何か―猫のアインジヒトの挑戦 (哲学教科書シリーズ)

倫理とは何か―猫のアインジヒトの挑戦 (哲学教科書シリーズ)