ブラームス / ヴァイオリン・ソナタ第1番-3番 ムローヴァ(Vn)

ブラームス : ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト長調 作品78「雨の歌」
★曲目
1. ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調op.78「雨の歌」
2. ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調op.100
3. ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調op.108
★ヴィクトリア・ムローヴァ(ヴァイオリン),ピョートル・アンデルシェフキー(ピアノ)
★1995年12月10-16日 ロンドン,ヘンリー・ウッド・ホール
★第1番「雨の歌」は,ブラームスが42歳になった時の作品です.多忙な音楽監督などの職務を辞任してからは,冬は演奏旅行,夏は保養地で創作活動,それ以外はウィーンにいるという生活パターンが基本だったそうです.
雨の歌というくらいだから,暗くて鬱陶しいのかなと思われるかもしれません.しかし,おそらくブラームスがこの時生活していた場所のケルンテン地方のペルチャッハ,もしくはブラームスにとっての雨は,穏やかに語りかけてくるようなしなやかで美しいものだったのかなと思わさせられます.
第2番は,53歳の夏をスイスのトゥーン湖のほとりトゥーンで滞在した時に,スイスアルプスの雄大な美しい風景を楽しみ,その影響を受けてか,明るくのびやかな情緒と共に,雄大さや力強さをも兼ね備えた曲を作り上げました.
第3番は,55歳のトゥーン滞在時に着手され,先の二つに比べると深刻で劇的な迫力に満ちています.
こういったブラームスで時折見られる親密で愛情あふれる曲やパートにとても魅力を感じます.カミュの異邦人でムルソーとマリーが海で遊ぶ一場面のようにも感じられます.
個人的にはやはり朝の目覚めに聴くのにぴったりだと思いました.