自我論集 (ちくま学芸文庫) / S. フロイト

フロイトの初期から後期の論文集です.どの論文も面白いです.心理学の分野では,フロイトユングの著作も「古典」であるというのは誰しもが認めるところだと思います.医学部の精神科では,勉強なんてするのかなぁって感じです.しかし,「理論」を知ろうと思えば,どちらの思想も「原点」ではないかと思っています.
この論文集の中では個人的には「快楽原則の彼岸」がいいです.
フロイトはこの時期,<死の欲動>を,ナルシシジムとマゾヒズムの問題を解消するために導入しようとしたと言われます.
ユングは,リビドーを「欲動の力」そのものとして,一元論として考えてきたが,フロイトは,自我欲動=死の欲動,性欲動=生の欲動として二元論として明確な区別をして出発しようとしています.