キングダム・オブ・ヘヴン (2005年)

キングダム・オブ・ヘブン 特別編(初回限定生産) [DVD]
★監督:リドリー・スコット
★製作総指揮:テリー・ニードハム、リサ・エルジー、ブランコ・ラスティング
★製作:リドリー・スコット
★脚本:ウィリアム・モナハン
★出演者:オーランド・ブルームリーアム・ニーソンジェレミー・アイアンズ
★音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
★紹介・感想:リドリー・スコット監督による十字軍に参加した青年が主人公の物語です。歴史的事実に基づいている部分も多いですが、脚色されている部分もいくつか目立ちます。オーランド・ブルーム演じるバリアンは、ほぼフィクションの人物です。また、イベリンというエルサレムに作られた様々な民族が住む土地も架空のものです。
それぞれの役者のセリフは比較的少ないように感じました。しかし、その分、人の表情の微妙な変化がしっかり捉えられています。エイリアン、ハンニバルブラックホークダウンで有名なリドリー・スコット監督の映画だけあって、死人の顔やマスクを外した時のボードゥアン4世のただれた顔など、グロテスクに描かれているところが、より映画にリアルさを加味しています。
オーランド・ブルームも、髭を生やして黒い長髪にすると、がらっとイメージが変わるんですね。パイレーツ・オブ・カリビアンと同じく、この映画でも鍛冶屋をしていますが。シンドラーのリストで有名なリーアム・ニーソンも渋いですね。
9.11テロ事件以降、ますますイスラムを邪見する風潮が高まっていますが、当時、アラブ人の間では、十字軍は凶暴な殺戮集団であったと記録されています。そもそもイスラム教徒がキリスト教徒の聖地巡礼を迫害しているという名目で始められた十字軍遠征は、キリスト教側のデマゴーグで、迫害などほとんどなかったと歴史学者が明らかにしています。キリスト教徒が攻撃や略奪を繰り返したため、イスラムムハンマドの伝統にのっとって聖戦に乗り出したとも言われています。この映画では、エルサレムの王になるギー・ド・リュジニャンとルノー・ド・シャティヨンが残虐な十字軍の指揮者として描かれており、彼らの率いる軍は、ハッティンの戦いでサラディンに大敗します。一方で、ハッサン・マスードが演じるサラディンがとてもいい演技をしています。知的で、他宗教に寛大であると言われる敬虔なイスラムの精神を垣間見ることができます。
架空の人物、バリアンの身の振り方が多くのメッセージを含んでいるように思えました。この映画は、リドリー・スコット監督による、宗教間の対立とそれに伴う戦争への批判が盛り込まれているのかもしれません。
http://www.foxjapan.com/movies/kingdomofheaven/


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