計算力を強くする Part 1&2 / 鍵本 聡

計算力を強くする―状況判断力と決断力を磨くために (ブルーバックス) 計算力を強くするpart2―思考の瞬発力を磨くために (ブルーバックス)
特に算数が好きというわけでなくても、信号待ちで、前の車のナンバープレートを見てしまうと、ついつい、その4桁の数字を使って、足し算、引き算、掛け算、割り算をしてしまったり、あるいは、電話番号の下4桁で平均値を出したりしてしまう人も多いと思います。また、暇つぶしについついノートの隙なんかに、適当に思い浮かんだ数字を、いくつかの数字の累乗の総和ではないかなぁと計算をしてしまう人も意外に多いと思います。自分もそういう癖はあるのですが、もっと日常生活の場で、割り勘、ポイント還元、外貨換算レートの変換、預金の複利の計算などで、実用的に使えたらなぁと思う方です。そういう人にもってこいの本があります。「計算力を強くする」というブルーバックスの本です。「計算力を強くする(以下、Part 1とする)」が10万部も売れたこともあってか、続編(Part 2)も出ています。最近は、暗算ブームなのか(?)、インド式の計算方法をひも解いた本も売れているそうですね。
本書では、大事なこととして、計算には、「計算視力」と「暗記力」が挙げられています。例えば、225を見て、パっと、15の二乗と出てくるかどうかってことだろうと思います。世界的に有名なインドの数学者ラマヌジャンは、1729という何気ない4桁の数字を見て、 1729=12^3 + 1^3 = 10^3 + 9^3と答えたそうです(Wikipedia参照)。”数は友達”って感じですね。


Part1では主に掛け算、Part 2では主に割り算に関する数多くの計算テクニックが紹介されています。少し、本書で挙げられているテクニックをいくつか紹介し、場合によってはいくつか計算してみます。
1〜20までの累乗(ここでは、2乗は^2と表記する)は、暗記している人は多いと思いますが、
Part 1では、例えば、
1) 220×0.95=220×19/20
  =(220÷20)×19
  =11×19
  =209


2) 4、8、3、9 それぞれの倍数の判定方法
4の倍数は、下2桁が4で割り切れるか、8の倍数は下3桁が8で割り切れるか
3(9)の倍数は、全桁の数字を足して、それが3(9)の倍数かどうかで判断します。


3) 複利の計算では、(1+x)^n≒1+nxの概算式を用いれば、ほぼ正確な値が出ます。
例えば、複利0.4%の普通貯金口座に100万円預けたとしたら、10年後には、
1+10×0.004=104(万円)実際は、104.0728...万円


4)分数、平方根の概算
1/3.03=1/{3×(1+0.01)}=1/3×(1+0.01)^-1
≒0.333×(1-0.01)
=0.333-0.00333
=0.32976


5) 円周率π≒22/7を用いると計算しやすい
半径7cmの面積は、
7×7×π≒7×7×22/7=154(cm2)


Part2では、
1)「十和一等」
23×83
i) 2数の十の位の積に一の位を足す。
2×8+3=19


ii)2数の一の位の2乗を求める。答えが1桁の場合は前に0をつけた形にする。
3×3=9


iii) iの答えの右にiiの答えをくっつける。
すなわち、1909


2)「十等一和」
43×47
i)2数の十の位から上の数と、その数に1を足したものとの積を求める。
4×(4+1)=20


ii)2数の一の位の積を求める。答えが1桁の場合は前に0をつけた形にする。
7×3=21


iii) iの答えの右にiiの答えをくっつける。
すなわち、2021


3)「スライド方式を用いた平方計算」
78×78
i ) 1回スライド→79×77
2回スライド→80×76


ii) スライドした回数の2乗を、iで求めた値に足す。
よって、(78+2)×(78-2)=80×76+2^2=6084


4) 日付から曜日を当てる計算の方法


5) 外貨換算レート
1ユーロ=152.375014なら、2ユーロ≒305円とすると、
600ユーロ÷2×305=91500円
実際は、600ユーロ×152.375014=91425円


1元=15.096円なら、1元≒3/2×10とし、最後に元×0.1を付加すると、
80元×3/2×10+80×0.1=1208円
実際は、80元×15.096=1207.68円


などなど、詳しい解説は、本書を見てもらった方がいいと思いますが、日常で結構使えそうなものばかりです。少数など、分数に直して掛け算するものは、眼から鱗でした。
自分も塾の講師をしていた時に、こういうテクニックを教えてあげたらよかったなぁと多少の後悔の念が沸き起こってきました。次、算数や数学を教える時は、(多分ないと思いますが)、こういうことも教えたいと思います。
そして、何よりそのためには、普段から、数の羅列を見れば、何かひらめくといったくらいまで、慣れしたしんでいくことも大切ですね。


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