都の白雪


9日の昼前、地下鉄からエスカレーターで大阪駅のプラットフォームに上がったときに、すでに雪が街を白く染め始めていることを知りました。息は白く、電車は遅れています。雨よりも、ゆっくりとひらひら舞う雪を見ていると時間の速度が急にゆっくりになったように感じました。


「都会は直線が多い」。なるほど、ビルディング、窓、電線、標識、電柱、道路、線路、ガードレール、直線と直線が交じり合っている。
たどり着いた京都でも、たくさんの直線が入り乱れているはずですが、この日は雪という消しゴムが、その線を消してしまっていました。


10日、西九条の住宅地を抜け、一本の道路を隔てて、大きな門と長く高い塀に囲まれた寺院が見えました。東寺です。昨日降り積もった雪で屋根瓦がところどころ白く染まっていました。


直線ばかりの駅南の都会の中にそびえ立つ、優美な曲線を湛えた巨大な姿は、北で見るような寺院とはまた違った雰囲気を醸し出しています。何百年も昔から上洛してきた人々を迎い入れるようこの地に腰を据えてきたことを想いました。