出家の覚悟−日本を救う仏教からのアプローチ / アルボムッレ・スマナサーラ、南直哉(2009年)

出家の覚悟―日本を救う仏教からのアプローチ


★南直哉さんの本が出版されるたびに即買いをしています。本書の最後の方でもご本人が発言されているように、「私の本を手に取る人は、仏教のことを知りたくて読むというより、むしろ、あえてお坊さんになった人は何が問題で、何をどうしようとしているのか、というところに関心や興味があって読んでいるのではないか」、「ある種のシンパシーを感じるのだろうと思う」とあります。
実は、現代人は口には出さないにしても、「生きるってどういうことか」、「それに意味はあるのか」、「自分ってなにか」、「どうすれば他人と共存していけるのか」、「何が正しくて、何が悪いことなのか」、「なぜ自分はこんなに認められないのか」、「なぜこんなに虚しいのか」、「どうしてこんな残酷な事件が毎日どこかこっかで起きるのか」など、人の生命に関わるような根本的な問題について色々と思いや考えをめぐらしたりしているのではないかと思います。ただ、ひたすらにこのような哲学的な問題と向き合うにはそうとうな体力が必要ですし、寝食すらも犠牲にしなければならないのかもしれません。逆に言えば、この問いに真正面から向かい続けている人のひとりが、南直哉さんであるからこそ、本を読もうと思えるのかもしれません。
「出家」じゃなくても、俗世間で生きているという意味で「在家」でも、これくらい考えることは可能なのか、まだ自分にはわかりませんが、一生懸命考えてみたいと思います。