Jonathan Livingston Seagull

かもめのジョナサン - Jonathan Livingston Seagull【講談社英語文庫】


★さとかんで「かもめのジョナサン」が話題になりました。早速、原著を読んでみました。ストーリーもそれほど難しくなく、英語の勉強にはもってこいの本でもあります。著者は、アメリカ空軍戦闘飛行士を経て、曲芸飛行士になっただけあって、自らの飛行訓練の経験をモチーフに本書を書いたであろうことを強く感じさせられました。
しかし、そういったテクニック云々について描写しただけではありません。本書は巷では「現代の宗教書」とも呼ばれているようです。確かに、作者がどのような宗教を持っているかまではわかりませんが、主人公は「かもめ」として描かれはしているものの、ある崇高な志を持った一人の修行僧の苦行の物語に映りました。食べることよりも、高く、速く飛ぶことに価値を置きます。また、動物らしく子孫を残す描写はなく、むしろ師匠に出会ったり、弟子がついたりもします。さらには、仲間のカモメを生き返らせる場面もあります。ちょうど、少し前にちらっと読んだ鈴木大拙氏の本があるのですが、かもめのジョナサンと師が重なってみえたりもしてきました。
また、オスカー・ワイルドのこの名言も本書のイメージにしっくりくるのではと思いました。

We are all in the gutter, but some of us are looking at the stars. Oscar Wilde.

「目は高く、手は低く」。無駄に見える向上心が人や社会を変えてゆくことも、ときどきあるのではないでしょうか。