シューベルト ピアノソナタ第17番ニ長調 D.850

この曲は、シューベルトのピアノ・ソナタの中でもマニアックです。つかみどころがなく、冗長で、形式的にもまとまりがないようですが、なぜか心地が良い。人間のこころって、不思議だと思います。いつもいつも完璧な建築物を好むわけではないからです。地震が起きれば崩れるような構造的欠陥を見すえながらも、そこに一種の美しさを感じるときがあります。この曲の不安定さというか、ばらつき具合は、凝縮した心身を放散させてくれます。