死因不明社会2−なぜAiが必要なのか / 海堂尊編著(2011)

死因不明社会2 なぜAiが必要なのか (ブルーバックス)


★第6章の「Aiと倫理」のところも勉強になりました。Aiというのは、オートプシー・イメージングの略で、「死亡時画像診断」と訳されます。CTやMRIといった装置が主に使われています。ジャンケレヴィッチの「二人称の死(身近な者の死)」と「三人称の死(科学や法が対象とする死)」の間で検死主体は揺れ動く事例があるということです。倫理的問題です。
ホームズの小説は「二人称の死」なのですが、ホームズはどれも「三人称の死」として冷徹に距離を持って取り組んでいるように見えます。近しき人の死、すなわち「二人称の死」として捉えてしまうと、見えるものも見えなくなります。しかし、もしあの小説が徹底した検視、検死の事例集であったなら、ここまで人気はでなかったでしょう。読者は、ホームズ的な視点「三人称の死」と、他の登場人物らの視点「二人称の死」の間を行ったり来たりする、させられるからこそ、読んでいてドキドキするのかもしれません。