Music: 72 Seasons / Metallica (2023)

 

Metallica -72 Seasons 2LP [Analog]

Metallica -72 Seasons 2LP [Analog]

  • アーティスト:Metallica
  • Blackened Recordings
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メタリカの新譜が出ました。出るまで気が付かなかったです。メタリカは10代の頃最もよく聴いたメタルバンドの一つです。新譜は、どちらかというと「ブラックアルバム」に近いサウンドかなというのが第一印象でした。

ジャケットは黄色地に黒という目立つ感じです。しかしよく見てみると、家具や雑貨が火事か何かで燃えているのですね。不吉です。

いる。

「“72 Seasons”=“72の季節”というのは、ひとの人生の最初の18年間、つまり“本当の自分“や“偽りの自分”を形作っていく年月のことを指している。”自分はこういう人間なのだ”という、親から教え込まれた概念。自分がどういった性格の持ち主なのかという、決め付けの可能性。これに関して最も興味深いのは、そういった核にある確信がその後の人生でも引き続き考慮に入れられていくということ、そしてそれが自分達の世界の捉え方に今どんな影響を与えているかということだと思う。大人になってから俺達が経験することの多くは、こうした子供時代の体験の再現であったり反応だったりするんだよ。子供時代という檻の囚人であり続けるか、あるいはそういった束縛から自らを解き放つかってことだね」Burrn!オンライン

 

以下は、本作というよりメタリカに関する個人的な思いを綴ります。

メタリカで最も好きな曲は?と聴かれると、「One」、「Nothing Else Matters」「Orion」、「Wherever I May Roam」「Sad But True」「The Unforgiven」「Turn The Page」あたりです。

メタリカは聴きすぎて、正直飽きてしまった感も否めません。それくらいよく聴きました。エレキをやっている時も、メタリカのリフをよく練習していました。コピーをしていて気がつくのは、カーク・ハメットが一流バンドにしては個性がないプレイであること。ジェイムズはリフもソロも、アコギも上手いこと。スラッシュ時代のクリフは奇才的な存在であったこと。色々批判もあったみたいですが、ジェイソンのベースプレイやライヴでのパフォーマンスは、メタリカの魅力の一つであったことなどです。メタルバンドにおいてベーシストって目立たないですが、アイアンメイデンとメタリカに関しては、ベーシストが目立ちます。

私は、デスメタルは好きなのですが、スラッシュメタルにそんなに馴染みがなくて。メガデスアンスラックス、アナイアレーターも一通りは聴いたのですが、Arch EnemyのコピーするメガデスのSymphony of Destructionはかなりいいと思います。

メガデスメタリカを比べると、圧倒的にメガデスの方が演奏は上手と思いますし、潔癖症的なライヴパフォーマンスもとても印象的です。メタリカは、アンダーグラウンド感がいい意味でずっと漂っていて、そういうところも、グランジシーンとの親和性を産んだのかもしれません。

ジェイムズが書く歌詞は、パーソナルな内容が多く、深いです。ああいう音楽だからもっと攻撃的なのかと思いきや、繊細です。調べてみると、家庭環境が、厳格な親に育てられたようです。特に母親に関する内容の歌詞が多いです。ジェイムズ一家は、非常に厳格なキリスト教科学者であり、その信条に従って、医学やその他の医療行為を強く否定し、母のシンシアが癌で死にかけたときでさえも、信仰に忠実であり続けたそうです。この生い立ちは、メタリカでのキャリアにおいて、ヘットフィールドの多くの歌詞のインスピレーションとなっており、特に『...And Justice for All』の「Dyers Eve」と『Metallica』の「The God That Failed」という曲でそれぞれ顕著に現れています。母親、宗教、神、政府、戦争など、深淵なテーマをパーソナルな視点で見つめるメタリカの歌詞は、深いです。

坂本龍一さんは、同時多発テロ後のグラウンドゼロの建築に際して、「こういった建築物が建築される反面、アメリカにはメタリカといったバンドが人気があり、戦争を思い出させるサウンドが人気があるというのも事実だ」とコメントしていたように記憶しています。音的にはそうですが、実は「One」なんかは、戦場で心身ともに傷を負った兵士の苦悩を描いているのですね。メタリカに対する誤解はもうあまりないと思いますが、悪いイメージが先行していた時代もありました。

 


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