マイノリティ・リポート

寝る前に映画『マイノリティ・リポート』のDVDを観た.もし未来に起こることを知ることができる人(予知能力者)がいるとするなら,人類やその社会は様々な利益は得られるだろう.この映画では,近未来のアメリカで犯罪を無くす,事件が起きる前に(未来)犯人を逮捕するという警察のシステムとして活かされていた.ある意味では,そのシステムは完璧であったのだが,そのシステムを構築した人間やシステムを司っている人間に問題が生じ始めたのだ.今の社会でもよくある権力争いだ.結果,そのシステムの活用はされなくなってしまう.
実はNHK出版の哲学のエッセンス『ベルクソン』でこの映画のことが触れられている.ベルクソンの時間のとらえ方は独特である.非科学的なとらえ方だ.人というのは未来の自分の可能性を<投げる>というやり方で過去・現在・未来の自分を線のようにつなぎ合わせていると主張する.「流れ」としての時間は,個々人特有である.感じ方によって,1分は永遠に感じられたり,1時間が一瞬に感じられたりするのはそのためだと.マイノリティ・リポートの意味は,マジョリティ(多数,大半,起こりうる可能性の高い)の逆,マイノリティ(起こりうる可能性の低い)・リポート(報告,知らせ)である.起こりうる可能性の低い未来の自分につながっていくことで,人は過去の奴隷ではなく,過去から開放された存在になると言及されていた.

マイノリティ・リポート [DVD]

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ベルクソン~人は過去の奴隷なのだろうか (シリーズ・哲学のエッセンス)

ベルクソン~人は過去の奴隷なのだろうか (シリーズ・哲学のエッセンス)