寄主の餌

昨日は,昼から刈り取ったイネ(葉,茎)をパウダー化する作業を行った.パウダー化というとかっこいいが,単に高温乾燥機で乾燥させたイネの葉と茎を,丁寧に粉砕して,最後にホームキッチン用のミルサーで粉々にするというすごく地道な作業である.でも実は僕はこの作業が好きだ.イネを粉末にしていくと,すごく甘い,新しい畳のような香りがしてくるし,粉末になったイネはなんとも言えず,風流だなと感じる.多分これは,自分が苗から育てた植物だから,すごく大切に感じているからだと思う.
それにしても昨日はこの作業に5時間くらいかかった.さすがに体は疲れていたようで,帰ったらすぐに寝てしまった.研究と言えども,僕らは肉体労働が大部分を占めているなといつも感じるが,僕に関しては頭だけで研究をするとなると,頭が悪いのですぐに破綻すると思われる.だから,こういった作業は自分にはあっているなと言い聞かせている.
この粉末はある蝶の幼虫に与える人工飼料のベースにする.チョウの幼虫は,何でも食べるわけではなく,種によって食べる植物の範囲(種によってその幅は異なるが)は決まっている.このイネの香りが,あるチョウの種にとっては摂食刺激物質になっていると思われる.