マルコムX (1992年アメリカ)

マルコムX [DVD]
★原作「マルコムX自伝」を読んでいたので話の流れはわかっていました。
黒人が、アメリカ(白人)のメジャーリーグ、ボクシングチャンピオン、キリスト教などの文化をあがめ奉って、白人のヒエラルキーの中に取り入れられることを「名誉」とするような精神性は、本質において卑劣であると、あの時代にマルコムX声高らかに叫びました。
「われわれは、アメリカ人である前に、ニガーである前に、黒人なのだ。自らをアフロ・アメリカンと呼ぶ」という精神は、すでにあるヒエラルキーに取り入れられて、「勝ち組」になるのではなく、そうではない自分が根本的に他の多様性と結びついていることを、混迷の中にあった黒人(同士)たちに再認識させる警告だったのではないかと思います。
マルコムXという文脈が立ち上がり、当時のアメリカの文化を大いに刺激したことに、欧米の体質と日本の体質の違いも感じます。どの宗教が正しいとか、誰が正しいとか、そういう問題ではなくて、新たなイデオロギーが生まれて、既存の思想を刺激する、それに共感する人たちも出てくる、そういう荒波が幾度と無く起きて、今のアメリカがあるのかとも思いました。時間的流れは短くとも、思想が多様で、様々なイデオロギーがせめぎあってきた歴史を持っているのもアメリカという国の特徴なのかとも感じさせられます。




人気blogランキング「ジャズ&料理」(1クリック応援よろしく♪)
lalakooraのWishlist