アンジェラの灰 (1999年)

アンジェラの灰 特別版 [DVD]
★監督:アラン・パーカー
★製作総指揮:アダム・シュローダー、エリック・スティール
★製作:デヴィッド・ブラウン、アラン・パーカースコット・ルーディン
★脚本:ローラ・ジョーンズ、アラン・パーカー
★出演者:エミリー・ワトソンロバート・カーライル
★音楽:ジョン・ウィリアムズ
★紹介・感想:アイルランドアメリカ人で、教師・作家のフランク・マコートの回想録です。タイトルの「アンジェラの灰」は、渡米したフランクが母アンジェラや弟のマラキをニューヨークに呼び寄せ、1981年に母が亡くなるとその灰を持ってアイルランドを訪れたことから付けられたと言われます。
 原作は、ピューリッツアー賞を受賞し、ナショナル・ブック・アワードにも選出されました。映画の監督は、エビータでも有名なアラン・パーカーです。
 この映画、冒頭で「とりわけ惨めなのは、アイルランドの子どもたちで、それもカトリック教徒の子どもたち 街の本質をとらえている 聖母マリア像も」と語られます。
フランク・マコートはアメリカ合衆国ニューヨークに生まれましたが、両親が経済的な困窮により、母国アイルランドに帰り、幼少期から十代までをリムリック市で過ごします。
 フランク・マコートの父親は、北部アイルランド出身でプロテスタントであったためか、カトリック信仰が強く、当時イギリスと独立・領土問題で対立していたアイルランドでは、なかなか受け入れられず、定職に就くこともできずに、稼いだお金はほぼすべて飲み代に消えてしまい、マコートの兄弟も生まれてまもなく飢えや病気が死亡してしまうような貧困を極める状態でした。
 映画を観ている限りでは、飲んだくれの父親にかなりの責任があるように感じられたのですが、フランクがそれほど父を責める場面がないのは不思議でした。マコート少年は、父が聞かせてくれる半分本当に半分冗談の話にとても魅力を感じます。一方で、母親に対して手を上げる厳しい態度をとった場面が印象的でした。それは、アンジェラといとこのラマン・グリフィンとの肉体関係のことに対してです。これをきっかけにフランクは家を出てきます。
 アイルランドは温暖で過ごしやすい気候だというイメージを持っていましたが、この映画で描かれているアイルランド西部シャノン川のほとりにあるリムリックは、湿度が高くいつも雨が降っています(これは映画のための演出で、実際はもっと過ごしやすいらしいですが)。マコート青年は、学校に通い、厳格なカトリックの教えを受けます。しかし、若気の至りからか、色んな悪戯をしては、司祭の前で懺悔し、許しを乞います。この映画の最後は、マコート青年が、自分で貯めたお金で、アメリカへ戻るシーンで幕を閉じます。勝手な推測になりますが、フランク・マコートは、母の地であるアイルランドの風土や風習よりも、父のアメリカの方に愛着を感じていたんだと思いました。冒頭の台詞、そして両親に対する態度の違い、最後はアメリカに渡ることから、考えられます。
 この映画、アイルランドの文化を垣間見ることができます。実は、このDVDを借りた理由に、アイルランドは一度行ってみたい国だからというのもあります。食べ物は、金曜日は宗教的に肉を食べることが好ましくないとされているので、フィッシュ&チップスを食べることが多いとか。映画のシーンでは、パブで飲まれるギネスがおいしそうです。
また、どうして貧困なのに、この夫婦は次々子どもを作るのだろうかと不思議でしたが、カトリック信仰が篤いアイルランドでは、堕胎が禁じられていたのはもちろんのこと、避妊や、夫の求めに応じないことも罪(sin)という意識が強いことも原因していたのかもしれません。
参考 http://britannia.cool.ne.jp/cinema/title/angelas_ashes.html 


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