State of Mind / Raul Midón (2005年)

ステイト・オブ・マインド フル・プライス
★曲目
1. State of Mind
2. If You're Gonna Leave
3. Keep on Hoping w/Jason Mraz
4. Mystery Girl
5. Waited All My Life
6. Everybody
7. Expressions of Love w/Stevie Wonder
8. Sittin' in the Middle for Donny Hathaway
9. Suddenly
10. Never Get Enough
11. Sunshine
12. I Would Do Anything
13. All in Your Mind
★現在のコンピューターのプログラミング技術を駆使すれば、心地よい音楽なんて簡単にできるんじゃないかなぁって思うときもあります。このくらいのテンポで、コード進行はこうで、楽器はこれを使って、声の質はこれくらいでって感じで。いや、逆に言えば、売れる曲を書ける人はそういうセンスの持ち主なのかもしれません。
もっと言えば、自分はそういうものに囲まれた場合、満足できるのだろうかと考えてしまいます。音楽を聴いているということは、何を聴いているんだろうって。
部屋の電気をつけている時に音楽を聴く場合と、電気を消して真っ暗にして聴く場合では、音の聴こえ方が変わってきます。雰囲気によって聴きたいと思える曲も変わってきます。
ギターをチューニングする場合もそうですが、チューナーを使うと、針がちょうど真ん中にきたことを見れば、あっているなと思い込んでしまいます。しかし、実際は、音そのものを聴かないと、あっているかどうかはわかりません。視覚が、聴覚を麻痺させることがあります。
ティーヴィ・ワンダーを聴いていると、これは、ただ単純に音だけを聴いているだけじゃないんじゃないかと思えるくらい、心揺さぶられるものがあります。生まれた直後から目の見えないスティーヴィにとって、音こそが、世界なのかもしれません。視覚を通して、眩しすぎるとか、派手すぎるとか、配色がいいとかってあるでしょう。例えば、真っ赤な壁の部屋に長いことを居たいとは思い難いでしょう。それを、音として置き換えて考えると、ボリュームが大きすぎる音や、不協和音が生じている場所にいることは、情緒不安定になりかねないですね。落ち着く部屋を作ろうとした場合、壁の色や、インテリア、壁にかけるポスターなど、もちろん、床に者を置き過ぎないとか、使い勝手も考えたりと、色々調和を考えてアレンジしていきますが、それを音として考えた場合、調和のとれていない音の部屋は、居心地悪いですね。
ラウル・ミドンの音を初めて耳にしたとき、この音世界の居心地のよさはどこからくるんだろうと不思議になったくらいです。ギターと声だけなのに、奥深いものがあります。ブルーズやボサノヴァの弾き語りが、心地よい“揺らぎ”を出しているのは、自分の身体に正直だからではないかと思えるときがあります。例えば、ヘヴィ・メタルでは、ここのサビでは、絶対にこの音を出すとかって、機械的に決まっていますが、ブルーズでは、同じメロディを無理して発声したり、執拗に高音を出しまくったりしないように思えます。演奏するたびに、微妙にフレーズも変わったりして、その時の“ノリ”がよく出ます。
音の世界に住む人が、自分にとって心地よい音を出す。これは、ある意味では、やはりプログラミングでは不可能なことなのではないかと思えます。


Raul Midon-"State of Mind" (long version)



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