環境問題という問題

さとかんで過去最長の8時間議論が行われました。


ただし、人それぞれ抱く概念や定義の違いにより、議論が錯綜してしまった嫌いもありました。例えば、科学、自然、保全、保護、保存、宗教、道徳、倫理など、何気に言葉として使っているのですが、人それぞれ持っているイメージが違うし、携わる学問分野や立場によっても異なってきます。


「環境問題」っていうのもそうです。


環境問題についてスケールの大小で見てみると、おおきく3つに分けられると思います。スケールの違いによって、考慮すべき主張や、その主張の根拠となる価値観や基準が異なってくると思います。


1.マクロでグローバルな問題
地球規模での地球温暖化二酸化炭素排出問題)、南北問題、人口問題、生物多様性問題などを扱うなら、アメリカで発展した環境倫理思想を勉強し、世界情勢フォローしていく必要がある。
この場合、基本的には、自然の生存権、世代間倫理、地球有限主義の主張を考慮し、各国の環境政策基準には、経済的価値が有効な力として働いていることを見据える。
書籍でいうなら、加藤尚武氏「環境倫理学のすすめ」「新・環境倫理学のすすめ」が参考になる。


2.ミクロでローカルな問題
日本、里山、琵琶湖、白神山地、農地での害獣問題、外来種問題(バス、タイワンザル)といったように地域個別の環境問題を扱うなら、上記1に加えて、アニミズム、仏教、神道民間信仰、タブー、慣習、文化など、地域固有の価値観や基準について考察する必要がある。
鬼頭秀一氏「自然保護を問いなおす」や和辻哲郎氏「風土論」が参考になる。


3.ミクロで日常的な問題
都会・田舎への移住ないしそこでの生活、家庭内の世代間、家庭ごみ分別・節約節電、親の介護、農業、所有地、所属する企業のCSR、エコ・ボランティア、リサイクル、環境教育といった個々人が日常生活の上で直面している問題を扱うなら、上記2に加えて、属する社会(集団)で取り決められた規範について考察する必要がある。
参考になるものとしては、書籍というより、環境系NGO/NPO団体、例えばNPO法人環境市民の活動内容が挙げられる。


1、2、3すべての判断基準として有効なのは、科学的知識(特に生物学、動物学、生態学)、法律、経済的な価値が挙げられるのではないでしょうか。