’チェルノブイリへ’ 『がんばらない』より / 鎌田實 (2000年)

がんばらない (集英社文庫)


★本書には、「チェルノブイリへ」という章があります。鎌田氏は、10年間チェルノブイリの救護活動に参加し、映画『ナージャの村』(サスナフィルム、日本・ベラルーシ共同制作、本橋成一監督)のプロデュースを手がけたことでも有名です。この映画は、1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原発事故後、原発汚染地となった風下のベラルーシ共和国強制移住区のひとつ、ゴメリ州ドウヂチ村で暮らす6家族の様子を写したものです。

科学者も評論家も政治家も、核を外側からしか見ていない。『ナージャの村』は核を内側から見ようとしている映画である。東海村や那珂町の人々は、今、核を内側から見はじめている。


「人間は原子力を使うまでにその人間性を深めただろうか」ぼくはベルナンスキーの言葉で最後をしめくくった。