ミステリアスな学名の蝶(サイエンス・コラム)

クロヒカゲというチョウがいます。里山林など、暗い林内ですばやく飛んでいる姿をよく見かけます。


学名は、Lethe diana(レーテ・ディアナ)です。ヒカゲチョウ属を意味するLetheは、ギリシア語由来で「忘却の川(レーテ)」という意味です。この川は、ギリシア神話で黄泉の国に流れる川のひとつで、亡霊がその水を飲むと自己の過去を一切忘れるという言い伝えがあります。


一方、種名のdiana(ディアナ)はイタリアの古い女神Dianaに因みます。ギリシアのArtemis(アルテミス)女神と同一視されています。狩の女神、月の女神ともされます。


ここまで神秘的な学名を持つ、クロヒカゲとはどんなチョウなのでしょうか。私は実物を見る前に学名を先に知ってしまったがために、相当に期待を膨らませたのですが、名前と模様のギャップに驚きました。


実物のクロヒカゲをすでにご存知の方は、特に驚かないと思いますが、知らない方は検索してみてください。


どうしてこのような名前がついたのか、理由がわかった方は教えてください。


はりま里山研究所企画「サイエンスコラム」
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