モトリー・クルーのアルバム『Dr. Feelgood』（1989年発表）は、ベーシストのニッキー・シックスのドラッグの過剰摂取による心臓一時停止がきっかけでメンバー全員がドラッグを絶って製作されました。「Dr. Feelgood」とは、ドラッグトレーダー（麻薬密売人）のことで、「Dr. Feelgood（気分を良くさせてくれる医者）」というモトリーが独特のセンスで皮肉ったものです。
曲目のT.N.T.という曲にはクイーンズライクのアルバム『Operation:Mindcrime』（意味：精神犯罪組織、犯罪操作組織）（1988年発表）の「I Remember Now」の歌詞の一部が引用されています。
この『Operation:Mindcrime』というのが、ロックオペラとして当時アメリカの裏社会を風刺したため、注目され、売れました。主人公の名前が、ニッキーで、彼はドラッグ依存症からのリハビリ中で、いろんなことに幻滅し、反社会的なマインドを抱えており、闇の犯罪組織がそこにつけこみ、ニッキーを洗脳し、ある政治的指導者を暗殺するように仕向けます。
モトリー・クルーのニッキーシックスやメンバーは、クイーンズライクのアルバムを皮肉って、歌詞の一部を使ったと思われます。ただ、モトリーらしいなと思うのは、急患を乗せた救急車ごとクラッシュする衝撃音で、勢いよく２曲目の「Dr. Feelgood」になだれ込むのです。歌詞やコンセプトはどうであれ、彼らの意気込みが感じられて、かっこいいです。アクセル全開でハジけている曲もあれば、バラードで聴かせる曲もありと、充実した内容の名盤です。
T.N.T. (Terror 'n Tinseltown) / Mötley Crüe
Dr. David, telephone please
Dr. David, telephone
Dr. David here to dispatch
Dispatch go ahead
We have a 17 year old male
Unconscious, possible O.D
Patient is not breathing at this time
We are presently putting on the mask
The CPR isn't pulled up...
(CRASH!!!)
I Remember Now/ Queensrÿche
(industry standard hospital noise)
"Telephone please. Dr. Davis, telephone please."
(nurse in heels walking and whistling)
"Dr. Blaire, Dr. Blaire, Dr. J. Hamilton, Dr. J. Hamilton"
(door open and close)
Background radio: "Soviets..."
Nurse: "It's 10 minutes past curfew, why are you still up?"
