Music:  Senjutsu / Iron Maiden (2021)

 

『戦術』(原題:Senjutsu)は、イギリスのヘヴィメタルバンド、アイアン・メイデンの17枚目のスタジオアルバム。2021年9月3日に発売された。

『戦術』は、バンドにとって『魂の書〜ザ・ブック・オブ・ソウルズ〜』(2015年)に続く約6年ぶりのスタジオ・アルバムとなり、バンドの前作との約6年の空白期間は今作が最長となっている。また、前作に続き今作が通算2作目の2枚組スタジオ・アルバムであると同時に、1984年の『パワースレイヴ』以来、ギタリストのデイヴ・マーレイが一切ソングライティングに参加していないスタジオ・アルバムであり、1998年の『ヴァーチャル・イレヴン』以来、ベーシストのスティーヴ・ハリスだけで複数の曲が書かれているスタジオ・アルバムでもある。(Wikipedia

Disc two
No.    Title    Writer(s)    Length
1.    "Senjutsu"    Adrian Smith Steve Harris 8:20
2.    "Stratego"    Janick Gers Harris 4:59
3.    "The Writing on the Wall"    Smith Bruce Dickinson 6:13
4.    "Lost in a Lost World"    Harris    9:31
5.    "Days of Future Past"    Smith Dickinson 4:03
6.    "The Time Machine"    Gers Harris 7:09
Total length:    40:15

Disc two
No.    Title    Writer(s)    Length
1.    "Darkest Hour"    Smith Dickinson 7:20
2.    "Death of the Celts"    Harris    10:20
3.    "The Parchment"    Harris    12:38
4.    "Hell on Earth"    Harris    11:19
Total length:    41:37

Personnel
Iron Maiden
Bruce Dickinson – vocals
Dave Murray – guitars
Janick Gers – guitars
Adrian Smith – guitars
Steve Harris – bass, keyboards
Nicko McBrain – drums

Staff
Kevin Shirley – production, mixing
Steve Harris– co-production

本作の録音はフランス・パリのスタジオ「Guillaume Tell(ギヨーム・テル)」で2019年上旬に行われました。アルバムタイトルの「Senjutsu(戦術)」は、スティーブ・ハリスが、侍エディがいたら面白いと考えたことがきっかけとなり、アルバムタイトルもスティーブが日本語のSenjutsu(way of strategy and tactics)を提案しました。ブルース・ディッキンソンは、日本刀や剣術、剣道の哲学に興味が持ったのと、彼はフェンシングの名手でもあることもあり、スティーブの提案に同意しました。ブルースは、「かつて人々が刀や剣で現実の世界で殺し合っていた時代からそれがスポーツに変わっていった部分に魅力を感じた。スポーツとしてのcombat(戦闘、格闘技)と実際に死の恐怖が存在する世界の間には明確な境界線がある」と語ります。名門大のロンドン大出身で歴史学専攻であったブルースは、今回のアルバム制作にあたり、宮本武蔵の『Book of Five Rings(五輪書)』、吉川英治の長編小説『宮本武蔵』を読解し、黒澤明の『The Magnificent Seven(荒野の七人)』を鑑賞することでインスピレーションを得たり、アイディアを膨らませています。

タイトル曲の1枚目1曲目「Senjutsu」は、エイドリアン・スミスとスティーヴによるもので、スローなテンポではじまります。エイドリアンは、日本の伝統的な打楽器からインスピレーションを得ています。

2曲目「Stratego」と6曲目「The Time Machine」はヤニック・ガーズとスティーヴによる共作です。いずれも、ヤニック節が炸裂しており、シンプルかつダイレクトな曲調であり、典型的なメタル調でもあります。6曲目「The Time Machine」は、当初はヤニックはアコースティックギターだけを使うつもりでしたが、エレキのトーンが良い具合に出たのでエレキにしたとのこと。その代わり、バックにアコギの音を鳴らすことで深みのある音にしました。

3曲目「The Writing On The Wall」では、新約聖書ヨハネの黙示録」の四人の騎手を四人のバイカーと登場させ、旧約聖書「Belshazzar's Feast(ベルシャザールの饗宴)」のシーン、そこにBabylonのNebuchadnezzar(バビロン王ネブカドネザル2世)を悪魔の王を登場させ、最後は侍エディにより山羊(獣)に変えられてしまいます。SFチックかつ世紀末的であるだけでなく博学エッセンスも盛り込まれているところは、アイアン・メイデンの真骨頂ともいえる曲です。スパニッシュなギターイントロから始まり、メインリフはイングランドのフォーク/民族音楽ぽさも感じさせます。しかし、もしかすれば日本人には東洋的な雰囲気のある曲として楽しめるかもしれません。

4曲目「Lost in A Lost World」は、プログレバンド「Moody Blues」に同名のアルバムがありますが、プログレ愛好家のスティーヴはおそらく知っているはず。

5曲目「Days of Future Past」は、エイドリアンがリフとタイトルを持ち寄った曲で、ブルースは映画「Constantine」の内容とリンクさせながら、タイトル先行で内容を膨らませました。

2枚目1曲目「Darkest Hour」は、第2次世界大戦でのイギリスの勝利と悲劇について歌っています。すなわち、ウィンストン・チャーチルの性格故に世界を救ったことと、イギリスが孤軍奮闘できる国であることについて、映画のごとくストーリー展開する曲構成と歌詞に反映させました。

2曲目「Death of the Celts」ではケルト調のメロディが楽しめます。アイアン・メイデンが、エスニックやアフリカン、エイジアンなメロディを盛り込むというのは今に始まったことではありませんが、このアルバムでのメロディの多様性は高めだと思います。

3曲目「The Parchment(洋皮紙)」では、エジプト調のメロディを楽しめます。

4曲目「Hell on Earth」は、静謐からはじまる大作。スティーブが敬愛する「Wishbone Ash」の影響とも言われます。

ちなみに、本作品に対するBurrn!誌2021年10月号のクロスレビューでは、90点(平野氏)、98点(広瀬氏)、86点(前田氏)、99点(奥野氏)でした。

アイアン・メイデンのジャケットに描かれているモンスターのようなキャラクターは、エディ・ザ・ヘッドと呼ばれるバンドのマスコットです。キモ可愛いキャラとしてバンドメンバーやファンから愛され続けています。毎回高尚な内容の作品を発表するアイアン・メイデンですが、そのアティチュードとスタイルは一貫して変わりません。デビュー前の地下室のようなライブハウスで人気を博した頃からファンとの距離を置くことはなく、世界中を可能な限りツアーで巡り、熱いライヴを展開してきました。アングラ根性というのでしょうか。名声や富を得たからといって、自分たちだけその上であぐらをかくことはなかったです。

 

 
 
 
 
 
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