Books: アンパンマン大図鑑プラス公式キャラクターブック

 

アンパンマン図鑑を読む機会が多いです。大人目線で少し考えてみたいと思います。特にバンキンマンの特徴についてみてみたいです。

・変装が得意であり、物語中でも終盤まで気がつかれない。

・美味しいものが好き。自分では作らず、他人の作ったものを横取りする。

・(自称)発明の天才。

以上のような特徴があります。これらは、バイキン(菌・細菌などの微生物)の特徴をよく表していると思います。

変装が得意なのは、カビや細菌の微生物というのは、人間の生活と隣合わせで存在しており、隙があれば食べ物や人体・動物の体に侵入してくることを表しています。

次に、美味しいものが好きというのは、甘い食べ物、新鮮な野菜など、有機物は、腐敗や劣化の可能性からは逃れられず、いつでもバイキンマンに狙われているといえます。また、手を洗わない、歯磨きをしないと、バイキンマンが侵入して、悪さをすることも示しています。

最後に、発明の天才についてですが、これはあくまで自称発明の天才なのですが、メカのバリエーションの多さは図鑑を見て驚きました。バイキンマンの変装のパターン、彼らの仲間、発明品は別冊になっているほどです。実は発明の天才は、もう一人います。それはジャムおじさんです。個人的には、パンに塗るJam(ジャム)とバイキンを表すGerm(ジャーム)の音が近いことから、二人は表裏一体で、ジャムおじさんバイキンマンを生み出したのではと疑っています。

二人の大きな違いは、ジャムおじさんは、手ごねで生地をこね、直火の釜で時間をかけて焼きます。それに対して、バイキンマン機械的に瞬時に作るところです。この対比からは、ジャムおじさんのパン作りは、有機的で愛情のこもったパンが出来上がり、バイキンマンの城では、無機質に機械を組み立てたり、わがままなドキンちゃんの無理な要求を叶えるためにがんばっているような印象があります。やはり愛情のこもった食べ物の方が、みんな喜んでくれるんだよというメッセージとして受け止められます。性能の高いメカでも、使い方を誤ると、結果、作った人だけでなく周りの人々を困らせます。近現代の文明を皮肉っているかのようです。

バイキンマンは物語の終盤で必ず退治されてしまうのですが、アンキックやアンパンチでかなたに飛ばされてしまいます。一見、暴力的で、子どもの教育に悪いのではと思われることもありますが、子どもはそうはみていないようで、むしろバイキンマンが人気があります。バイキンマンの愛用するマシーンのダダンダンなどメカも人気があります。思ったままに行動するところが、子どもには受け入れられるのかもしれません。ダダンダンの動きも、小さな子の動作にも似てなくもないです。

美味しくて、焼きたてのアンパンマンの顔、そしてアンキックやアンパンチは、子どもたちの丈夫な体を象徴しているのかもしれません。でも、バイキンマンのいない物語は面白くないと思います。いつでもバイキンマンがいるから、手洗い、うがい、歯磨きしましょうと、保護者も教えやすいと思います。

微生物(乳酸菌、麹菌、酵母など)のはたらきによって食物が変化し、人間にとって有益に作用することを発酵といい、反対に、有害な場合は腐敗と呼ばれます。微生物のおかげで、発酵は食物のおいしさや栄養価、保存性を高めるだけでなく、腸内環境の改善や抗酸化作用など、健康効果をもたらしています。

バイキンマンを安易に憎まない子どもたちの姿をみると、大人よりもよくわかっているのかもと思います。心が純粋なのは何事にも代え難いことです。