Study: 赤穂コールドロン

播州赤穂市を中心とした一帯は、熊本の阿蘇山と同じく、かつて火山の噴火によって形成されたカルデラがあったようです。カルデラの中に赤穂の町があります。赤穂市御崎の海岸に、調査のきっかけとなった地層の一部(地表で固まった赤く変色したマグマの痕跡)が見られます。

ただし、赤穂の場合、カルデラ地形が残っていないコールドロンという地形です。したがって、見た目は阿蘇山のクレーターのようなカルデラ地形とは異なります。

産総研の調査・研究により、赤穂市を中心とした相生市岡山県備前市の一帯は、白亜紀(恐竜が生息していた時代。約 8200万年前)の地層が、火山噴火でできたカルデラ(コールドロン)であることが報告されました(2016年)。

再噴火の恐れはなく、カルデラ内は火砕流堆積物が埋められ、また、長年の浸食により、地表に特有の凹状の地形は残っておらず、火山体の地下構造が露出している状態で、地震に強い地盤を形成しているということです。

サイズは、阿蘇カルデラ(南北 約 25キロ、東西 約 18キロ)や姶良(あいら)カルデラ(鹿児島県)(直径 約 20キロメートル)に匹敵します。

ちなみに、カルデラ(caldera)は、スペイン語で釜や鍋と意味する言葉です。学術的には、火山活動によってできた大きなくぼ地状の地形を指します。陥没があったかは問いません。一方、コールドロン(cauldron)は、英語で大釜を意味し、学術的には、火山性の陥没構造の総称です。削剥 ・ 浸食により陥没してできた地形が失われたものはコールドロンと呼称するのが一般的です。

厳密に言いますと、赤穂コールドロンは、カルデラ (長径 約 21キロメートル)の一種であり、現在、カルデラ地形は浸食により失われており、火山体の下部構造(コールドロン)が露出しています。カルデラ地形が残っていない(元・バイアス型)カルデラの場合は、特に「コールドロン」と呼ばれます。

カルデラと聞くと、やはりハワイの活火山のキラウエアを思い出します。キラウエアのほうは、一説によれば、約60万年前から30万年前に形成され始め、約10万年前に海面上に現れたとも言われます。

白亜紀の地層と聞くと、イギリスのジュラシック・コーストを思い出します。ジュラシック・コーストというのは、イングランド南部のイギリス海峡に面した海岸のことで、ユネスコ世界遺産(自然遺産)に登録されています。古い場所で2億5000万年前に形成された地層が露出しており、ここには、中生代にあたる三畳紀ジュラ紀白亜紀にできた地層が存在し、この地層が断崖を形成しています。海岸の岩場にもアンモナイトの化石がびっしりとあるそうです。共通点をあげるとするなら、ジュラシック・コーストの中心付近に位置するウェーマスが、イギリス有数の保養地でもあるのですが、赤穂もまた風光明媚な観光地として知られていることです。

しかし、赤穂の方は、御崎海岸では、アンモナイトの化石が見つかったというのは、確か聞いたことはないです。コールドロン内を埋める火砕流堆積物の厚さは 700メートルを超えており、地下には、カルデラ形成後の熱水活動によりできた金やろう石鉱床が存在することがわかっているそうです。

赤穂は、製塩で有名で、塩釜に関係があるだけでなく、カルデラやコールドロンも釜や鍋を意味するので、二重の意味で釜に関係しているのは、不思議でした。

赤穂市西部(岡山方面)にあるビジャゴ岩もカルデラの痕跡です。

 

参考:

産総研

カルデラWikipedia

カルデラ噴火(地球科学の基礎

ジュラシック・コースト(Wikipedia

 
 
 
 
 
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