発酵―ミクロの巨人たちの神秘 (中公新書) / 小泉武夫 (1989年)

★目次
第1章 地球と微生物
第2章 微生物と発酵の発見
第3章 発酵技術の進歩
第4章 日本人と発酵
第5章 発酵を司る主役たち
第6章 今日の発酵工業
第7章 奇跡の発酵


★世界中で展開されている熾烈な発酵技術競争のなかでも、日本の発酵技術の水準はトップクラスに位置していると言われます。微生物を取り扱う上で、その培養や応用が最も難しいといわれるカビという微生物を、日本人は2000年もの間、巧みに扱ってきました。酒、味噌、醤油、米酢、味醂、焼酎、鰹節といった嗜好品は、和食の味わい深さの秘訣そのものです。
最近自分も植物、肥料、活性汚泥などの分野のことを勉強していると、微生物による作用が、重要なポイントになるように思えてきます。現在の技術では、特定の微生物を比較的容易にかつ安全に扱うことも可能になってきていますが、かつての日本人は「見えないもの」を「見えないままで」ここまで洗練させてきたのかと思うと、恐れ入ります。しかし、逆に言えば、「見えなくても」、ある程度はできることもあるということです。
いまだに未知な部分も多々あり、環境への適応も抜群の微生物たちですが、それゆえに今後もさらに彼らを用いた技術は色々な分野で活躍していくだろうと思います。発想の転換が大事です。