京都伊勢丹のえきで開催されている、チェコ国立プラハ工芸美術館、チェコ国立モラヴィア・ギャラリー所蔵〜アール・ヌーヴォーのポスター芸術展を観てきました。クリムト、ミュシャ、ロートレックなど、世紀末のポスター黄金時代を代表する作品が、本邦初公開作品も含め、約130点展示されています。
当時のオーストリア=ハンガリー帝国は多民族国家であり、支配民族であったドイツ人は帝国の人口の4分の1程度でした。各地からの人口流入により、ウィーンの街ではヨーロッパのあらゆる言語を耳にすることができたそうです。世紀末ウィーンの芸術活動は、ユダヤ系の人々による支援が大きな原動力になっていました。グスタフ・クリムトに代表されるように、甘美で妖艶なエロスを発散していると同時に、常に死の影があります。
グスタフ・クリムト/第1回 ウィーン分離派展(検閲前)
左のミノタウロスは、旧弊な美術界を、右のテセウスはウィーン分離派(ゼセッション)を象徴しているとも見て取れます。テセウスの裸体があからさまに描かれているという理由で検閲にひっかかったそうです。
ヤン・プレイスレル/エドワルド・ムンク展
ムンクの展覧会を案内するポスターです。この絵は、芸術家の孤独と創作への諦観を象徴しているとも言われます。
コロマン・モーザー/フロンメのカレンダー
カレンダ−のための宣伝用ポスターです。運命の女神が手にしている砂時計は、時の経過と生命の有限性を象徴しているとも言われます。