愛を読む人(2008)

愛を読むひと (完全無修正版) 〔初回限定:美麗スリーブケース付〕 [DVD]


★2008年のアメリカ・ドイツ合作映画。ベルンハルト・シュリンクのベストセラー小説『朗読者』をスティーブン・ダルドリー監督が映画化。第81回アカデミー賞では作品賞を含む5部門にノミネートされ、ケイト・ウィンスレットが主演女優賞を受賞。


<あらすじ>
第二次世界大戦後のドイツ。15歳のミヒャエルは、気分が悪かった自分を偶然助けてくれた21歳も年上の女性ハンナと知り合う。病気から回復したミヒャエルは、お礼を言うために彼女のアパートを訪れるのだが、会うごとに二人は関係は深まって行く。文字の読み書きができないハンナはミヒャエルに本の朗読を頼むようになる。彼はハンナのために『オデュッセイア』『戦争と平和』『犬を連れた奥さん』『ハックルベリー・フィンの冒険』『タンタンの冒険旅行』といった作品を朗読した。やがてハンナは働いていた市鉄で車掌から事務職へ昇進し、ミヒャエルの前から姿を消してしまう。ハンナと離れてから長い時間が経つ。 ミヒャエルはハイデルベルク大学の法科習生としてナチスの戦犯の裁判を傍聴する。そしてその被告席の一つにハンナの姿を見つけるのだった。数週間続いた裁判によって、彼女が戦時中にどのように事件に関与していたのかが明らかにされる。裁判はハンナに不利に進み、結果的に無期懲役の判決を受ける。ミヒャエルは強制収容所の跡地を訪問し、ナチス戦争犯罪について思いを巡らせる。やがてミヒャエルは以前のように本を朗読し、録音テープを刑務所のハンナに送り始める。彼女は文字の勉強をし、ミヒャエルを送るようになる。長い年月が流れ、やがてハンナは出所の時期が来るのだが・・・


この映画は5本の指に入る素晴らしいものでした。戦後、ドイツという「国」がどのように過去と向かいあっていくべきかという議論は頻繁に行われてきましたが、一人一人の心を掬うような視点を与えてくれるきっかけにはなかなか出会ったことがありません。この作品を観ていると、人間というものは都合の悪いものに「敵」や「悪」というレッテルを貼付けることで、自分たちの心の整理をつけるものなんだとわかります。個人個人は微力なはずなのに、社会とは不思議なもので、国家、集団、〜党となると、ものすごい力を発揮するものです。