寄生から共生へ昨日の敵は今日の共 / 山村則男・早川洋一・藤島政博(1995年)

寄生から共生へ―昨日の敵は今日の友 (シリーズ〈共生の生態学〉 (6))


寄生者は垂直感染率を高めるような形質を進化させようとし、宿主はそれを低めるような形質を進化させるだろう。このコンフリクトに宿主がある程度勝ち続け、垂直感染率が低いままであるとすると、両者の間には対立関係が続く。しかし、このコンフリクトに寄生者が勝って、何らかの高い垂直感染率を獲得してしまうと、自分の子孫がより宿主の子に依存することになるので、むしろ寄生者は宿主に有益な共生者に変化したほうが得になる。そこから先は、より親密な相利共生関係と高い垂直感染率を達成するメカニズムが一方的に共進化する。そして、障害がなければ、ゲノム一体化まで進むことになる。