Music: 村上さんのところ / 村上春樹

 

村上さんのところ (新潮文庫)

村上さんのところ (新潮文庫)

 

 村上春樹さんは、日本のメディアには出ないし、SNSも実名で使っている様子はないので、人嫌いかと思いきや、本書のように読者からの質問に気さくに、時には真剣に、一通、一通、丁寧に答えています。小説では、重たいテーマを扱っているので、浮世離れした人かと思いきや、エッセイや読者とのやりとりでは、等身大の姿がうかがえます。ファンや愛読者にもいろんな方がおられるでしょうし、逆に、村上嫌いの人も、それぞれに理由があるのでしょう。

私がいつも刺激を受けるところは、英語に対するスタンスです。それからやはり社会との接し方、見方とかでしょうか。振り回されていないところいいですね。SNSやTVで発言しまくるタイプではなく(もちろんそういう人も必要ですが)、あくまで小説という手段で、人間のドロドロしたところを、従来の日本文学とは違うやり方で試行錯誤しているところが魅力ですね。

まるで猫のような存在の村上春樹さんです。一見涼しい顔してるけど、五感(第六感も?)はビンビンに働いているって感じです。

組織というものが十代から苦手だった説明するところ、固定観念から自由であるところ、独自の視点を持っているところ、アウトサイダー的なところ、やはりいいですね。なんで、(自分も含めて)みんなこんなにガチガチに縛られて生きてるんだろうと、投稿者と村上さんの間での体温の違いを感じるところもあり、なんだか滑稽(?)でいいです。でも、ガチな問題のところでは、村上さん、真剣に語っておられます。