Books: ケルトの世界ー神話と歴史のあいだ / 疋田隆康(2022)

 

ケルト人の定義は近年論争のあるテーマで、学界でも十分な合意があるわけではないといいます。イギリスでもケルトのイメージは時代によりまちまちです。

インド=ヨーロッパ語族の神話には様々な類似点が見られることが指摘されていますが、それらに共通する構造も提唱されています。これらの神話には、(1)祭司(2)戦士(3)生産者という区分が存在し、神話の神々や英雄はこの区分に役割分担がなされており、またこの構造に基づく世界観が神話の物語にも反映されているという理論です。三機能区分に具体的な例としては、マハーバーラタであれば、パーンダヴァの五兄弟は、ユディシュティラが祭司階級、ビーマとアルジュナが戦士階級、ナクラとサハデーヴァが生産階級を表しています。

ケルトに神話についても分析が試みられているものの、明確な構造は見出しにくいと言われます。